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日本政府にない福島第1事故の議事録、米国が保有 アメリカ情報公開法で公開

2013年11月19日00時24分

日本政府にない福島第1事故の議事録、米国が保有 アメリカ情報公開法で公開



福島事故直後に、日本政府が作成していないと発表していた議事録を、米国政府が作成していたことが判明しました。アメリカ連邦情報公開法に基づく開示決定で、本紙編集長の江藤貴紀などに公開しました。


さらに、米国NRCは、別の文書も情報公開。近藤駿介氏の1535本の燃料棒が溶融するとされる最悪シナリオよりも多い2000本以上の燃料棒が96時間以内に溶ける事態を想定していたことも判明。加えて、同心円上ではなく風向きまで考慮したより危険な内容となっています。



(この画像全文は、ここをクリックしたリンク先の7、8ページ目を参照してください)


加えて、同文書によると米国NRCは、3月18日時点ですでに1号機から6号機まで全ての炉心が損傷中と認識しており、96時間の経過後にも福島第一にある約15000本の燃料棒から、放射性物質の放出が続くことを予想していたと思われます。




(当時のNRCによる炉心状況の認識。全ての炉心が「dameged」(損傷している)との記載です。)


これには 「OFFICIAL USE ONLY」(部外秘) と記載されており、極めて重要な文書として取り扱われていたことが分かります。


そして懸案の議事録は3月11日の事故発生直後から3月20日までを詳細に記載した内容で、全文は40ページ。情報源とその入手時間が秒単位で記載されて、細部まで事細かに記述された内容となっています。




(議事録全文の参照にはこちらのリンクをクリックしてください


ここでは、さらに強調して文書に大きなスタンプで NOT FOR PUBLIC DISCLOSURE (公開禁止)と記載。米国政府、原子力規制委員会の中でも極秘クラスの文書として慎重に取り扱われていたことがうかがえます。


注:2000本という計算は日本政府がIAEAに出している報告書にある燃料棒の数(下)と、2枚目の画像にある燃料棒の溶融率の式で求められます。



ところで、この議事録問題は日本政府や原子力産業の「隠蔽体質」のみが問題なのでしょうか。ちょっと考えてみましょう。


第三国の資料のほうが歴史上一般的に信頼できる法則


一般にですが、国家規模の事件になるとその国の記録は余り信用できないことがままあります。これは、当事者であるので責任問題やその他の考慮が働いて、中立的な証拠が残し難くなる訳です。ちょうど裁判で、原告や被告、あるいは刑事の被告人・本人の証言よりは中立的な第三者の目撃証言の方が当てになって証拠としての価値があるのと同様です。(もっとも第三者といっても思惑が色々あって証言をねじ曲げることはありますが)


ですので私は、今回の福島事故議事録問題が日本政府固有の隠蔽体質によるものだとは思いません。アメリカだってーーースノーデン事件を観れば分かる様にーーー各種の不正行為と秘密主義が政府機関と関連産業の内部にあります。だから日本だけが特別に酷い国と言う訳ではないのです。


ただ一般論に立ち返って、なるべく他国の証拠にも当たってみるというのはより的確なアプローチと考えて、アメリカ政府資料を弊社では重要視して収集している訳です。


(編集長 江藤貴紀)


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