アメリカ政府は福島第一原発事故直後、少なくとも5本のワーストシナリオを作成していたとみられることが、NRCが米国情報公開法に基づいて公開していた文書の分析から判明しました。
下の画像で、行番号12〜13に「because there’s about five worst cases」とある部分です。ただ「最悪」の場合は他にもあり得るという留保を付けているので、それ以上のケースを分析していた可能性もあります。
これは米国NRCが作成している最高意思決定部(エグゼクティブ・チーム)電話会議議事録のうち、2011年3月20日分の記載にあるものです。全文のリンクはこちらをクリックしてご覧ください。
さらに以上の電話会議の記録を元に、筆者がアメリカNRCへさらに情報公開請求をしたところ本紙へ届いた開示決定の対象文書に以下の「東京超溶解シナリオ’’Tokyo SupearCore Scenario’’」という記載(*1)が発見されました。
(元PDF全文のリンクはこちらをクリックしてください。)
なおNARACとあるのは、米国気象予報庁のことで、風向きを加味した遠距離のシミュレーションをするために米国NRCが協力を要請していた先です。
この内容は完全に非公開となっています。そうすると、下にある2000本以上の燃料棒溶融よりも多くの燃料が溶けるand/or風向きが東京に向かった場合よりも悲惨なシミュレーションの様に思われます。(*2)
まだアメリカ政府に対して情報公開請求がかけられている中で全ての文書が出てきている訳ではないのですが、この「Tokyo Super Core Scenario」は5本の最悪シナリオのうち、ひとつである可能性が高いと考えられます。
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*1 Tokyo Supearcore Scenario を直訳すると「東京・大炉心」シナリオですが、「東京大溶融」のようなニュアンスでしょう。
*2 安全保障上の問題などがある部分は抹消して情報が公開されますので、消されている部分は消されていない部分よりも危険な内容という推論です。
* なお、最初の電話会議議事録に対する公開請求には私は参加していません。AP通信・ワシントン記者のディナ・カピエロさんがいちばん初めに請求をかけています。それを受けたNRCの公開情報としてWEBサイトで閲覧可能となっている文書の中から発見しただけに留まります。
【江藤貴紀】
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