自民党の古川俊治参議院議員が、政治資金規正法が明文で禁止する自己宛の寄付に相当する行為を行っていたことや、元々所属していた医局、医学会の会費、その他ユナイテッドアローズでの買い物に政治資金を使っていることなどが、政治資金収支報告書の記載から分かった。
(ユナイテッド・アローズやユニクロなどで「消耗品」を購入したとある)
医師でもある古川氏はもともと自分が所属していたはずの学会の学会費や慶大病院の医局への会費(慣例として、医師は出すことになっているようである)も政治資金から支出していた。
政治家として政治資金が使えるようになったため、それを医局への支払などに流用することにしたと見られるが、「それならあなたは政治活動のために医者をやっているんですか」という突っ込みをしたくなる。政治家でない普通の医師なら所属している医局の会費はちゃんと自前ではらっているのでフェアでない。
(古河俊治氏の政治資金管理団体「彩の国フォーラム21」の政治資金収支報告書より)
また、法医学の教授として慶應義塾大学法科大学院で教鞭をとるなどしているところ、法医学の学会費も政治資金から拠出している。政治家になる前なら個人で支払っていたはずなのに、それが議員になった途端に政治資金ではらえるようになるというのは釈然としない。
なお、古川氏は大手弁護士事務所のTMI法律事務所に所属している弁護士でもあるが、弁護士会の会費は政治資金からは払っていなかったようである(可能性としては①事務所持ちになっていたというのと、②弁護士会は病院や学会と違って法律にうるさいので、しぶしぶ自分個人で支払った、という2通りが考えられる)。
ユナイテッドアローズでの買い物くらいはご愛敬だが、最大の問題は政治資金収支報告書上の、自分への支払である。名目は組織活動費の「会費」だが、実質において自分に渡したお金は使途が分からなくなることから、政治資金規正法22条の1はその名目のいかんを問わず、選挙期間中の例外を除いて、政治家個人あての寄付を禁止している(注*)。
(総務省HPにのっている解釈の指針)
政治資金規正法にいう政治家「から」の寄付についての解説だが、文言のいかんを問わず事実上の寄付が禁止されるという理屈は、自分あての寄付についても同様に妥当する。名目さえ適当に換えれば何でも出来るとなると政治資金規正法の意味がなくなってしまう。従って自分への支払は会費名目でも寄付ではないかという疑いが強い。
なお、古川議員はワインも好きなようで平成23年はワインを買うだけで、政治資金パーティ分を除いても36万円も使っていた(デパートでも数十万円ぶんの買い物をしているので、そのなかにワインが紛れ込んでいる可能性も高いが、その分は除いての控えめな計算)。また、食事をするときにもフレンチの高級店に行くと、他の政治家と比べて会計額が跳ね上がっていることから、高めのワインをたくさん飲んでいるのではないだろうか。
いちおうワイン愛好議員連盟に入っておられるので「政治活動だ」という理屈もあるのかもしれないが、そういう理屈を使い出すと「○○議員連盟」さえ作ってしまえばなにに政治資金を使っても許されそうになるので、やはりそういうのはよくないと思われる。
(注*)政治資金規正法4条3項は「この法律において「寄附」とは、金銭、物品その他の財産上の利益の供与又は交付で、党費又は会費その他債務の履行としてされるもの以外のものをいう。」とする。政治資金規正法上の「寄付」にならないには、あくまでも「債務の履行」であることが必要である。「党費又は会費」というのは例示に過ぎず、この名目がついていても何でも許されるのではなくて、きちんとした「債務の履行」でなければならない。もちろん、自分個人宛の会費を支払う債務など政治資金管理団体にあるわけもなく、罰則も26条できちんとついていて、一年以下の禁錮又は50万円以下の罰金である
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