東京電力はこの支援救済スキームによって生かされていますが一方で大きなジレンマを抱えることになりました。それは、事業継続と事故処理というこれの常に相反するものを、両立させないといけないということです。
結果、何が起きたかといえば、事故処理の費用をある意味これを出すのを惜しんで事業継続を優先させるために、こういった壁が作れなかった。あるいは事故処理への十分な対策ができなかった。法律が出来て2年です。見直しの規程が附則の6条2項にも定められています。
今こそ実はまさに東電が自己収束と事業継続のジレンマから抜け出す、これを抜け出させるためにも、国がお金を出すというスキームを作っていくべきです。そうでないと事故収束はできません。繰り返しますが、今の状況では安易に国費は投入できません。しかしスキームを見直して、最後のページであるスキームを見直して、国がお金を投入できる仕組みを考えるべきだと思っています。これは私が民主党のプロジェクトに提案をした案、馬淵案です。
廃炉や事故処理の新たな仕組み、これをいちおう廃炉機構と呼んでいますが、この新たな案を国と東電、などがお金を出して作るんです。東電から事故処理を切り離して、事業継続と事故処理のジレンマから解き放つ、このことが肝心なのです。そして東電自体は、私はこれは法的整理という風に書きましたが、株主責任、過失責任を明らかにして、企業分割をするべきだと思っています。
あくまでも法的整理というのは、ありきではありません。あくまでも考え方の一つのであり、私的整理もあり得るかもしれません。いずれにしても、東電が事業を継続させながら事故処理を行なうことが困難なのはもはや明らかに不可能です。
従いまして、原子力損害賠償支援機構法の見直し規程に基づいて法律を見直して、そして新たな組織を作って国がお金を投じて事故収束を図り、東京電力は本来も止められる形で株主責任と過失責任を図り、東京電力は新・東電として生まれ変わらせることが必要ではないかということを今提言しているところです。以上、私のほうから、汚染水問題に端を発する、東京電力の処理、汚染水処理、国費投入のあり方についての、皆さんへのご説明とさせていただきました。
追記: 会見後、馬淵氏との名刺交換に外国メディアが列を成した。これは、日本の政治家では稀有な光景だった。(石井)
【取材:石井鉱人 文:江藤貴紀 石井鉱人】