(木村太郎氏HPより。公職選挙法違反になると公民権停止で、しばらくは政治家として再起できない時がある)
安倍晋三総理の内閣総理大臣補佐官を務める木村太郎衆議院議員(青森4区選出)の国会議員政治団体、「木村太郎後援会連合会」がゴルフ、飛行機、品代、仕出し屋などの支出を計上しておきながら一円も会費を集めていない行事を行い、444万円をかけていたこと等が政治資金収支報告書の記載から分かった。
加えて同氏の政治団体、「東北政経研究会」からは3年間つづけて、70万ずつくらい規則的に帳簿からお金が理由なく消滅するという現象が発生していて、合計で204万円が完全な使途不明金になっていることも判明。あまりに規則的なのでミスというのには無理があり政治資金規正法上の虚偽記載罪(12条2号および25条3号)が成立すると思われ、また事務担当者に業務上横領が成立する恐れもある。
(総務省HPより)
木村首相補佐官は、後援会や政治資金管理団体、自分が代表の自民党支部などを含む8個の政治団体の間でくるくると政治資金をロンダリングしていた(それぞれの団体が寄付金を出し合っていて資金が循環するという不自然な流れをしていた)。その度ごとに少しずつサヤ抜きがされるいう面倒な仕組みを採用しているため、お金の動きが複雑になっている。
これらの団体の名称は似たような紛らわしいものが続き、また住所、事務担当者は以下の通りでだいたい被っているが、資料が青森県と総務省へバラバラへ提出されるなどして一見してもなかなか全体像が分からない状態が作られていた。
木村太郎氏については前回の記事で、やはり無料の地元ホテル食事行事、政治資金規正法違反の自己への寄付300万円、毎年200冊くらいの土産物屋での手帳購入その他の疑惑を報じているが、一回の記事では書き切れない初めての分量だったため2度にわたって書くことになった。
指摘する点はいくつもあるが、まず木村太郎後援会連合会の催した集まりには対価が計上されていない無料のものがある。これに1人でも地元選挙区の有権者が来て食事や交通費などの便宜を受けていたら、ちょうど観劇ツアーに有権者を招いた小渕優子氏の例と同じで、公職選挙法の「買収罪および利益供与罪」(第221条)が成立する。
(清々しいまでに「顎足つき」という古くからの表現通りの、イベント模様。平成22年の政治資金収支報告書より)
他にも地元の西津軽で「マルセ旅館」になぜか宿泊費名目で84000円を計上していたり(なぜ後援会が地元で宿泊費を払う必要があるのだろう。地元のケーキ店でクリスマスイブに「ケーキ代」を19200円はらっていたり(1個でも有権者に配っていれば買収罪が成立してアウトである)、やはり地元で有機野菜やリンゴジュースなどを6回の買い物だけで43万4000円分も太っ腹に購入したりしている。
(クリスマスのケーキ)
なおこの木村太郎後援会連合会は、木村太郎氏が代表を務める自由民主党青森県第四選挙区支部と同様に、木村議員と同居する、元衆議院議員で元青森県知事の父親木村守男氏が所有する第一木村ビルに入居しており、毎月7万円の家賃を通じて実家の不動産収入にも3年で264万円ぶん貢献するという親孝行な機能も果たしている。
そしてもっと怪しいのが「政経調査研究会」と「東北政経研究会」である。この2つの団体はどっちも別の木村氏の政治団体と同じ住所に、同じ事務担当者の木村晴男氏をおいて設立されて、どちらも木村氏の政治団体や木村氏本人からの献金を収入源としている。ところがどちらも、政治資金規正法で宛先を書く必要がない1万円以下の支出を連発しており、前者は人件費や木村氏の政治団体宛にくるくる回しているお金を除いた202万円のうち177万が1万円未満の支出となっている(例えばだが、9000円分のクオカードを約200回かっても分からなくする効果がある)。
後者の東北政経研究会はさらにひどく、総額では毎年はらわれているはずの経常経費について、項目別では全く記載がないのでこの時点で完全に政治資金規正法違反(虚偽記載は犯罪だが、記載するべき事項を記載しなかった場合も同じく刑事罰に問われる)が成立しており、この状態が平成22年から平成24年まで続いている。
(83万円が一気に消滅して、政治活動費の支出しか記載されておらず、全く帳尻が合わなくなっている、普通の企業なら通りそうにない会計である。確認には青森県HPのリンク先を参照)さらに残りの支出についても、木村氏の政治団体に再び献金されてバイパスするほかは大半が、明細なしですむ10000円以下の支出で済ませており、672万円の使い道が政治資金収支報告書から分からなくなるという効果を上げている(ただし、情報公開請求をすればこの10000円未満の支出についても少額領収書を取ることが可能だが、探す側にとっては言うまでもなくよけい面倒でハードルが高くなる)。
合計すると、この活動実体不明な2つの団体で932万円の使途がよく分からなくなっている(なので仮に、会費無料の行事での食費などに流用されていたとしてもすぐには分からない)。
筆者の見たところ8つも団体をくるくる回していたり、一つ一つの団体の収支で奇妙なものが多いことから、全体としてお金を複雑に回していろいろな使い方を行っていたと思われる。よくやるなとは思うが時間をかけて丁寧に見たら一発で違反が分かる項目が含まれており、もう少し上手に出来る人材を使えればバレにくかったのにと余計なことを考えてしまう。最後に、この8つの政治団体の名称と概要を掲載する。
“・あすなろ21懇話会 全国タバコビル2階 代表者木村太郎氏 事務担当者 木村晴男氏 木村太郎氏・政治資金管理団体
・21世紀懇話会 全国タバコビル2階 事務担当者 木村晴男氏 木村太郎氏の国会議員関係政治団体 総務省HPに資料
・政経科学調査会 全国タバコビル2階 事務担当者 木村晴男氏 政治団体 青森県HPに資料
・東北政経研究会 弘前市親方町43 木村事務所内 事務担当者 木村晴男氏 政治団体 青森県HPに資料
・自由民主党青森県第四選挙区支部 弘前市親方町43 代表者 木村太郎氏 青森県HPに資料
・木村太郎後援会連合会 弘前市親方町43 事務担当者 木村隆洋氏 木村太郎氏の「国会議員関係政治団体」 青森県HPに資料
・木村太郎太山連合会 弘前市親方町43 木村太郎氏の国会議員関係政治団体 青森県HPに資料
・木村太郎白山会 ビル代行内 事務担当者 木村晴男氏(H23まで。その後は工藤貴弘氏) 総務省HPに資料”
(なお資料のリンクは 総務省がここをクリックで 青森県がこちらをクリックで ジャンプできる。それぞれ年度ごとに別れていて、以上8個の団体の全年度のページを開くだけでも大変である)
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【編集長 江藤貴紀】
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