本紙の報道したアメリカNRC版・福島事故議事録(記事はこちらをクリックで参照ください)を、遅くとも昨年1月には安倍内閣と原子力規制委員会が入手していたにもかかわらず、その存在を全く公開していなかったことが分かりました。
この懸案の議事録は、アメリカ情報公開請求法に基づいて、2012年の夏に公開されました。その中では日本政府とアメリカ側のやりとりが秒刻みで記載。3月17日時点で3号機の燃料プールがからになっているのではないかという、国内では全く発表されなかった防衛省発のアメリカへの情報などが記載されていました。
(議事録全文の参照にはこちらのリンクをクリックしてください)
この中身は、昨年11月に本紙が記事として報道してようやく問題化したものです。それまで政府内部からはこれについての公表がありませんでした。しかし、この文書は遅くとも昨年1月に福島第一・福島第二原子力発電所訴訟の証拠として提出されたものを政府が入手しています。
その結果、下記の通り、昨年5月付の福島裁判手続きの中で、原子力規制委員会の職員を含む政府側はアメリカNRCの公開した文書が、根拠不明と反論をしています。
安倍政権は、民主党政権の原子炉事故に対する対応の不明確さを批判してきたにもかかわらず、福島事故の議事録という重要文書を公開せずにいたことは、完全にバランスを欠いていると思われます。
もっとも官僚から安倍政権までこの情報が上がっていなかったという可能性も残りますがその場合には、行政をコントロールする指導力が政権に足りなかったことになります。逆に、もし情報が上がっていたのに公表していなかったのなら、政権の秘密主義的な体質が問題ということです。
現在、東京都知事選挙が行われる直前であり、各候補者と陣営は原子力政策の是非と、またそれを論点にすることの意義について激しく争っている最中です。しかしながら、政府から十分な情報の提供がなくては、まっとうな理性に基づいた議論が、選挙のために行うことはますます難しくなるわけです。とすると、都知事選挙における住民の十分な議論に基づいた選挙を妨げているのは、民主的に行われた選挙で多数派をとった我が国の与党という皮肉な事態です。
関連リンク ”外務省委託レポート、『原発は過疎地を優先的に配置するのが実態』『1機事故の急性死亡は最大で1万8千人に』『以上の情報は原発反対の世論に繋がるので、公表すべきでない』”
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