1986年のチェルノブイリ事故直後に、厚生省が出していた放射能汚染食品に対する輸入規制検査の通知の根拠になった文書を、本紙が入手しました。
これによると「当時の放射性降下物の核種分析結果、放射性核種の物理的及び生物学的諸性質、日本人の食品摂取量、輸入食品の割合並びに日本における今回の事故による推定被爆量などから勘案し」セシウム137及びセシウム134の値が1kgあたり370ベクレル以下であれば、輸入して差し支えないという結論をだしています。
1Kgあたり370Bqというのは、現在の日本の規制基準値(下図を参照)よりも、表面上は緩やかな規制基準です。しかしながら、輸入食品に比べた、国内産の水や食品の摂取量からすれば、健康上の配慮が大幅に後退していることがうかがわれます。
現在の規制基準については厚生労働省のリンクをご覧ください。
厳密に言うと、輸入食品の消費量については金額などのベースでは農林水産省が出していますが、放射性物質の影響を考慮したものは特にない。なので非常にラフな検討しか困難です。しかしながら、1986年、チェルノブイリ事故直後に日本人が食べていた輸入食品の量と言うのは相当限られていて(中国産の野菜もろくに入っていなかった時代です)、なおかつチェルノブイリの影響を強く受けたソ連・ヨーロッパからの輸入量はきわめて少ないのは間違いないわけです。
なお、この輸入食品の規制値にあたる検査は、都道府県が厚生労働省の通知を元に行なっています。とすると、放射能関係の健康面のモニタリングも自治体がその事務として行なっている訳で、チェルノブイリよりもはるかに近隣にある原子炉の(事故リスクを伴う)再稼働は、およそ全国的な問題になります。
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(江藤貴紀)
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