米国エネルギー省が福島第一原発事故直後の3月23日に、メルトダウンした燃料の場所と、その場合における海水注入・塩の蒸発等の影響に関する分析を米国原子力規制委員会(NRC)に送っていた資料および、フランスのアレバ社が作成していたシミュレーションで2013年にアメリカ政府へ送られたらしいものを、入手しました。アメリカ連邦情報公開法に基づいて本紙などが請求した資料です。
上の文書では燃料がコアの下にたまっていた場合には、塩の融点である摂氏801度や沸点である1413度よりも加熱されるため、海水の塩が蓄積する問題は生じないだろう、とか単純だけどいろいろ考えた考察をしています。
またこちらのスライドでは、セシウム137のβ線がどれくらいの放射線量で、それを半分に遮断するには真鍮・鉄・コンクリートで何センチの厚みが必要か、10分の一にするにはどれくらいの厚みが必要かなども実用的に考えてあります。他の核種から出る場合でも、β線なら同じく扱ってよいとかも。
さらには、下の図面は、福島第一の4号機と構造が似た、アメリカのオイスタークリークにある原子炉の設計図を、参考のためのモデル資料として出しています。その次のページだと今度は日本語で書かれた福島第一原発の図面があったりしてもう手に入るものは何でも必死にかき集めてくれている様子がうかがえます。
スノーデン事件ですっかりイメージダウンしたアメリカですが、こういうものを見せられるとわたしなどは感心してしまって、米国の「ソフトパワー」が取り戻せると思うのでもっとどんどんと出して欲しいものです。
今度はフランス・アレバ社の燃料プールに関する分析です。4号機の燃料が10日以内にメルトして、他の燃料プールも2、3週間のうちに溶け出すというとても悲観的な予測をしていたようです。ただ画像下の方に2013年1月とあるので、この資料をアメリカ政府が提供されたのは、今年になってからということでしょうか。
あと英語が相当に適当で文法や単語の使い方がとてもおかしいですが、フランス人が大急ぎで書いた感じです。たとえば使用済み核燃料 spent fuel が spend fuel になっていて、修飾するのに受け身系じゃなくなっていたりします。あと good sources of information も good よりは reliable とかのほうが普通ですが、面白いのは「東京電力はあんまりたくさんの情報をださない」みたいなことが下のところに書いてある部分ですね。他にも、私の知らなかった情報源が載っていて興味深いです。
ちなみに本紙以外にも国内と米国のメディアは情報公開請求をかけている(情報公開請求の内容自体が公開されているのです。ややこしいですね。)ので他も報じてよさそうなのですがどこもやってません。うちが浮いているのか、それとも他のところが10万ページとかのを読んでる暇がないだけでしょうか。
この福島事故NRC関係文書は、どれも史料的な価値があってスクープでもあるのでさっさと英語でも配信しないと、です。
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