朝日新聞社が、10月28日付けの報道において、スノーデン事件で明らかになったNSA・アメリカ国家安全保障局の傍受プログラムについて、すでに海外で報道されていた内容を独自取材の結果得られたものとしてスクープ扱いしていることが本紙の分析でわかった。
朝日新聞社の渡辺丘記者と田井中雅人記者は、「米国家安全保障局(NSA)が少なくとも三つのプログラムを組み合わせることで、インターネットや携帯電話などのほぼ世界中の通信記録を対象に収集、分析していたことがNSA元幹部らの証言でわかった。米中央情報局(CIA)のエドワード・スノーデン元職員が内部告発した活動の全体像が浮かび上がった。」と記載。あたかも独自情報のような印象を与える記載をしている。
また朝日新聞の記事は続けて「朝日新聞はNSAで実際に通信傍受などに携わった元職員6人に米国でインタビューした。NSA元幹部で2001年まで分析官を務めたウィリアム・ビニー氏(70)は「アップストリームで光ファイバーの情報をリアルタイムで集め、足りない部分をプリズムで補った。その情報をもとに傍受対象者を絞り込んだ。XKSを使えば情報の中身も見られる」と証言。米国民を含む、ほぼ世界中のネット利用者が対象だったという。ほかの元幹部もこうした仕組みを認めた。」としている。
しかしこれらは、いずれも英語圏では既に報道済みの内容。第1に、UPSTREAMとPRISMの併用をNSAが職員すすめていたことについては、今年の7月10日付けにワシントン・ポスト紙が報道した。
第2に、PRISMとXkeyscoreの併用についても英国のtheregister紙が7月31日に報道するなどしている。
朝日新聞社は、これら周知の内容を「NSA職員のインタビューによって得られた情報」と記載。しかしそれはせいぜい裏付け程度であって、しかも海外報道より2ヶ月以上遅れている。全く独自情報と呼べない。
このようにすでに知られている内容を別人に尋ねて新たに判明したというふうに書くのは剽窃に極めて近い。海外メディアの報道がすでに存在したというクレジットを出さないで「ソース・ロンダリング」して新情報を装うのは、読者をあざむく内容である。報道機関の倫理と配分的正義、そしてフェアネスに完璧に反している。
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