――正式な再稼働に関しまして誰が責任を持っていて、すなわち最終責任はどこなのですか?
泉田 それがですね、不明なのが日本の状態なんじゃないでしょうか。(会場、笑)
別の記者――それで終わりですか?
泉田 ああじゃあですね、もう少し言いましょうか。一応ですね、安全性の確保はあるということになっております。一方ですね、自治体に誰が説明するんですかというのは決まっていないと理解しています。また茂木経済産業大臣が責任を負うということだと仮定すると、原発推進大臣が安全性を説明することになってこれはおかしなことだと思っております。
原発推進官庁が来てですね、安全性を語ったら住民はですね、安心納得は得られないではないと思います。これは、住民の安全守るという意味では、中央防災会議という組織もあって事務局は内閣府が担当しています。これは古谷防災大臣が担当です。ただ内閣府が原発を説明するのはおそらく能力がないと思われます。ですから本来は先ほど申し上げたと通りNRAがですね、責任説明を負うべきだと思います。しかしながらですね、この説明責任が負うNRAがつくられた背景は政治があまり事故に介入しないようにという背景があってつくられていますので、逆に政治責任を負う大臣が誰なのか曖昧になっています。形式的に、環境省にNRAは設置されていますけども、独立性の高い3条委員会になっております。
――つまり、NRAが再稼働を審査する権限があるのですね。いっぽう県知事としてそういうような再稼働をブロックする権限はお持ちでしょうか。
泉田 権限ことで言うと、知事には権限はありません。これはTEPCOとの間で安全協定があるのみです。したがってですね、社会的信頼をTEPOCOが得れるかどうか極めて重要ではないでしょうか。新潟県には原子力の専門家を集めた技術委員会を持っております。なぜ、このような組織ができたかというと国とTEPCOがトラブルを隠す、情報を隠す、嘘をつくという経験を住民がしたからです。したがってですね、県でしっかりチェックするという合意があって、私が就任する前から技術委員会が存在して、地元自治体とも合意がないと先に進まないという慣習ができています。
―― しかし、官僚がそういうような現場の県の知事をバイパスするのが不思議に思えるのですが。
泉田 日本の制度はそういう制度になっております。
――安倍首相が汚染水についての政府の関わりについての発言をされていますがどう思いますか?
汚染水に政府が関わって、結果が出れば政府とTEPCOに対する信頼は上がると思います。やはり関わるということだけでなくて、実際に水が止められるのか、そして住民がですね抱えている苦しみが下がるのかていうところが重要だと思います。広瀬社長との面談はですね、技術的なところどの項目について最後最終決断するのかと整理がつけばお会いします。(注 広瀬社長との会談は、その後、いったん拒絶したものの、実現した。)今でも事務当局同士の接触が続いています。
―― 原子力規制委員会との懇談をして有益なことはあり得ると思いますか?
泉田 NRAにですね、確認したいことがあります。先ほど、NRAの設置法をおみせしました。つまり、住民を守るための対応をNARは権限としてもってるわけです。それを活用してですね、安全性を高める気があるか確認したいと思っております。
また福島事故の本質、冷却材喪失事故ていうものを今回の基準で防げるものかどうか、すなわち検証と総括なくしてなぜ基準がつくれたかということは説明していただきたいと思っております。一度返事が来たんですけども、ほとんど理由にならない理由で説明できていない。役に立たないのではなくて、説明ができないので会いたくないんだろうと思います。