第一三共子会社であるインドの製薬大手ランバクシー社のジェネリック医薬品製造に関する検査工程などでの不正が昨年、アメリカの食品医薬品局(FDA)の調査などで判明した。にも関わらず、日本の厚生労働省は昨年11月以降、米国FDAに対してランバクシー社のジェネリック医薬品が持つ危険性についていっさいの問い合わせをしていないことが、アメリカ連邦情報公開法に基づく情報公開請求への応答で、明らかになった。
(情報公開請求に対する米政府・FDAからの応答文 連絡はメールのみで完結してまた費用もかからず、極めて使い勝手がよい。)
インド紙thehinduが伝えたところでは、同社は薬剤を偽装製造したと事実を認めて、インド司法省に対して5億円の和解金で司法取引することを求めた。そして同社が作っている薬剤はいわゆるジェネリック医薬品(医療界の俗語で「ゾロ」という)だが、エイズ用の薬剤から一般的な抗生物質まで約200種類。
FDAの調査によれば、少なくとも2003年からランバクシー社の違反は始まっており、また2006年の調べではFDAが要求している薬剤の品質検査のうち、保管状態や期限に関係する8項目以上について、規制基準に沿ったテストを怠っていたことが判明。そのため製品の一部についてアメリカでは輸入禁止措置をとられた。
日本国内へも、インドを含む海外製の医薬品は入っており、医療費抑制のために厚生労働省ではジェネリック医薬品の使用を奨励するインセンティブ体系を診療報酬に組み込んでいる。なので同じ様にずさんな作りの薬が日本にも入ってきてい可能性がある。
にも関わらず、先に危険性を発見した米政府といっさいの情報交換を怠っており、国民の健康被害の防止に妥当な努力を怠っていたことになる。。
なお厚生労働省は昨年、取材に対して製薬会社の信用問題を理由に回答を拒否。そのため今回はわざわざアメリカ政府の米国連邦情報公開法を用いて、日本政府の対応を調べるということになった。(注)
アメリカ政府には感謝しても余りあるが、同時に日本政府のいい加減な対応のせいでアメリカの情報公開法を使うということに、忸怩たる思いも感じる。行政のより適切な運営を行うためにも、情報公開制度の充実(あるいは厚生労働省の情報公開に対する運用姿勢の変更)が必要と思われる。
(注)日本の情報公開法の場合は運用として外国政府との連絡は外交秘密などとして開示されない場合が非常に多い。また企業の信用に関する場合も、行政は開示について非常に消極的で拒否される蓋然性が高く、情報公開制度があまり活用できない状態になっている。
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