それから今の安倍政権の特徴って、外務省政権ですよ。かつてなく外務省の影響が強くなってる。それはもう佐伯さんっていう次官も優秀な人であるし、それから、内閣官房の谷内さんも優秀な人である。それだから外務省の人のアドバイスを色々きくうちに、それじゃあ国内法の解釈も外務省のOBでやってもらう。それに国会答弁の小松さんも外務省出身ですよね。その人は下がって外務省の国際法局長がやればいいんですね。日本の法律は全部外務省が解釈する。
それから日本の経済で今一番重要な問題はTPPですよね。だれが交渉してます?これも、外務省の鶴岡さんですよね。それから、これからNSCの話が出てくる。これは事務局の責任者はとなると、安全保障も内政も外交も経済も全部外務省。外務省の時代が久方ぶりに到来したよって感じですね。ただ、外務省ってのいうのは調整官庁ですから、自分たちで物事を具体的に動かした経験ないですからね。さて、うまくいくかどうか。うまくいって欲しいとは思うんですけどね。
それから、靖国に関しても、いま、鈴木代表が説明したとおりなんですよ。ただそれと同時に、じゃあ今から一部の人たちにいきますよ。A級戦犯の分祀をすればいいんじゃないかと。無理です。靖国の論理をどうにかし分祀をしても、中国も韓国も・・・特に中国。かつてA級戦犯が問題だけど、今やそれじゃすまない。たとえば今回だって、首領閣僚が行かなければ中国は構わないってメッセージ送ってたって話じゃないですか。事実そうだと思いますよ。しかし髪の毛逆立てて本気で怒ってますよ。これはどういうことか。このへんのところを考えた場合に、中国の政府が統制できないほど大きな問題に靖国はなってるわけです。中国で今、本格的な資本主義化が進んでいる。近代化が進んでいる、産業化が進んでいる。この産業化っていうのは、必ず民族、nationっていうのがつくるんです。均質な中国人というものをつくっているんです。今までの中国、文化大革命以前はどうだっていいんだけど。確かに漢人ていうのはいましたよ。しかしそれは、近代的にみても中国人と違うんです。宮廷に仕えている連中は王朝に忠誠を誓う。軍閥の連中は将軍に忠誠を誓う。しかし一般の人間にはに関係ないんです。誰が誰でも。ところが今は「均質な我々」っていう中国人ができた。
この民族たちは『敵』のイメージが強い。チェコ人ができるときはポーランド人が敵というイメージが強い。ポーランド人やフィンランド人ができる時は、ロシアが敵のイメージ。ドイツ人ができるときは、フランスが敵のイメージで、フランスができる時は、ドイツが敵のイメージ。どうしてフランスとドイツが両方敵のイメージになるかっていうと、戦争で負けた時の記憶があるんです。戦争で負けたときに、『よくもひどい目にあわせたな』と。それから特に大きいのは、同胞女性が、暴行を受けている時に守ることができなかった。その悔しさ。このイメージっていうのが民族をつくるときの鍵になるわけです。
そうすると、中国が近代化を終えて民族ができるまでに、日本は敵のイメージだっていうのは変わらないわけですね。少なくとも50年間かかっても無理ですよ。それなので靖国をおろしてもまた次の問題がでてくる。こういう状況になるんだってことを考えて、政治家は賢明な判断をする。賢明な判断とは何かと言ったら、英霊がいると本当に信じている政治家は、そしてその英霊を靖国神社にお参りに行くことによって、慰めることができるんだと信じる政治家は、靖国神社に行く。そう思わない人は自分なりのやり方でやる。そして8月の15日に行くことが、本当に英霊の思いと適うと思っているなら8月の15日に行きゃあいい。8月の15日に、今の状況のなかで靖国神社に行くということになっても、そこは非常に喧騒な雰囲気になってしまう。それは、喧噪な雰囲気になりますよ、政府の要人が行けば。はたして英霊がそういったことを望んでいただろうか。しかもそこには、当時の大日本帝国だから、台湾の人々、そして朝鮮半島の人々も、あの戦争の中には、我々も一緒に戦って英霊として祀られていると。その英霊が、日本や韓国、日本と中国が、ああいうふうにいがみ合う姿を喜んでいると思うのかどうか。そこは各政治家が判断すべきだと思います。
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