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LINE社、送金決済サービスの本人確認で身分証写真の「加工」をユーザーに要請

2014年12月27日11時34分

LINE社、送金決済サービスの本人確認で身分証写真の「加工」をユーザーに要請



LINE社が、今月立ち上げた決済・送金サービスLINE Payの利用において、運転免許証または健康保険証による本人確認を要求しているものの、その本人確認書類の画像は一定の場合にユーザー側で画像を加工して送るように促していることがHPの記載で分かった。



これは、サービスの中でLINE Moneyという機能を利用するためのインストラクション部分。この本人確認を済ませると残高限度額の解除がされ、LINEの友達への送金と、登録した銀行口座への出金が出来るようになる。その中で「身分証に本籍地の情報が記載されている場合、本籍地情報が見えないように画像を加工してください。」とある。


画像の加工を前提としてサービスの本人確認システムを考案しているということは、そもそもLINE社側で、身分証の画像撮影による本人確認という仕組みに信頼性を全く置いていないのではないかという気がしてくる(というか普通は、「身分証には決して細工するな」という要求をするのが通常の感覚に思われるが、「身分証とは加工するものだ」というのがLINE社の感覚のようである)。



制度趣旨としてはパターナリスティックなプライバシー保護なのだろう。もちろん身分証の画像確認では、画像が改変・加工される恐れはあるのだが、わざわざサービスの提供側で画像を加工できる能力をユーザーに期待してることを明言するのは筆者の知る限り、希有である。


なお、身分証のコピーを取る際に本籍を隠して送らせるのは、他の金融機関の例から、一般的ではないかという考え方もあり得る。しかしながらそういう場合、当該欄をそもそもの写真撮影の際に覆うなど、(撮影前段階での)普通のマスキングを要請するのが通常と思われるところ、画像加工を求めるのは特異なポリシーに属すると思われる。【16時頃追記】


そしていちおうだが郵便物の受け取りまでを含めて本人確認の手続としているものの名義貸し的な私書箱サービスの類いは、違法だが処罰規定がないため横行しており、郵送の受け取りを必須としても確認の実効性にはずいぶん限界がある。



(身分証不用の私書箱サービスを検索した結果)


本人認証の趣旨が、金融や決済サービスで本人確認を要求するのはなりすましや振り込め詐欺、マネーロンダリングその他の犯罪を防ぐ等の目的であるところ、どれだけLINE社が責任を持つつもりなのか筆者には疑問が残る。実はこのLINEの決済サービス利用規約には他にも問題点があるのだが、その点は続編記事(LINEの送金決済サービス 契約書面で「安全性を保障しない」と明示)を参照。


ただ、LINE Pay はプライバシーポリシーで非常に広範な個人情報を収集すると明記している。これらを集めてしまえば、本籍地の記載を遙かに上回るセンシティブな情報が完成すると思われる。なので「そんなにプライバシーを本音で気にしていてくれてるならなぜこういう情報を集めるのか」とか「プライバシーを大事にするというのは業界団体か何かに向けた建前的なもので本当にユーザーのプライバシーなどは気にしていないのではないか」といった疑問が浮かんでくる。



すなわち、規約によれば「氏名、住所、職業、性別、年齢、生年月日、ニックネーム、LINE ID、パスワード、パスワードの秘密の答え、電話番号、FAX番号、国籍、電子メールアドレス、携帯メールアドレス、会社名・団体名、部署名・役職、会社所在地、その他連絡先に関する情報、代表者等に関する情報、事業内容、実質的支配者に関する情報その他法人の情報、クレジットカード情報、銀行口座に関する情報、取引目的、免許証・住民票など公的証明書に関する情報、その他決済サービスその他の当社が提供するサービス(以下「本サービス」といいます。)の提供等に付随してお客様から当社に提供される一切の情報」が含まれており、さらに「クッキー(Cookie)、IPアドレス、端末情報、ブラウザ情報、ブラウザ言語、位置情報、その他お客様の通信ログに関する情報」、「LINE CashおよびLINE Moneyの発行・購入・利用・譲渡・送金・換金・消滅に関する情報、注文情報、決済情報、趣味、嗜好、意見、評価情報、その他LINE CashおよびLINE Moneyならびにその利用等に関連する情報」が収集される情報である(太字部筆者)。


(今回の件は、身分証の画像を場合によっては加工して送ることを要求するというシュールなポリシーであるが、そもそも根本的に、電子データを用いた(画像に限定されない)本人認証の困難さについての問題は、一般論として意識されてよい)


【編集長 江藤貴紀】


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