なお、2001年の8月の閉鎖騒動(サーバ代が賄えなくなりそうだった)は、実際にどれほど危険だったのか筆者には不明だ。2000年から実はガーラ社へ2ちゃんねるがデータを提供していたことなど、ごく最近まで明らかにされなかった事情を考えれば、ひょっとするとお金で解決できたのかもしれない。しかしこのときのボランティアの活動がユーザらの一体感を得るのに寄与したのは間違いない。ちょうどつんくプロデュースのモーニング娘。に、テレビの番組企画で試練がふりかかったり、○○の条件が達成できなかったら解散や引退というノリや、AKB48が「各種の困難に立ち向かう」(のをショーアップする)ことでファンを獲得していった様子と似ている。少なくとも効果としては「雨降って地固まる」で、その後のボランティア運営に資するところがあっただろう。その後に続く2ちゃん発の有名作品「電車男」以上に、閉鎖危機克服の方が劇的な感動ものの話という気もする。
この構図はまるで迫害(想像上のものであることもある)に大して内部の団結心を高める宗教のようだ。非常に悪い例だろうが、オウム真理教でも下位の信者は禁欲的な戒律を課されて、またお布施をする信者がいる一方で、教祖・麻原彰晃の眼鏡にかない「クラス」があがった幹部になると豪勢な生活を送れるようになっていたという。2ちゃんねる削除の業務に関係のあったことが裁判資料で明らかになった未来検索ブラジル社も、「格を付ける」ことでボランティアに(実際は削除システムの保守やドワンゴ社を通じたまとめブログの斡旋といった関係業務を会社がかりで行なっていたことで、運営関係者らは報酬を得ていた)ヒエラルキーを持ち込んで、厳格な運用を行なっていた。また、「従順な性格の持ち主」、あるいは「何かよりどころを探している人」というのは、究極に何でもしてしまう人間では無いだろうか。2ちゃんねるの業務のーーー少なくとも一部にはーーー法令違反が明確に含まれていた。あそこで好まれていたスタッフは「信者体質」だった、というか盲目的な性向がなければ勤まらない業務である。
(西村博之氏の英語SNS・linedinの個人ページより。下の方に行くと、心理学専攻で学部を卒業した旨が書いてある)
*本稿の執筆時点ではカバーできなかったが、2ちゃんねるの開設時から2001年8月までのボランティア活動状況などは、それ以降と対比するために調査する価値がある。
** 対談時期に就いては連載の2、3番目ほどだったとの説もある
http://gihyo.jp/dev/serial/01/company-visit/000401
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