なお、ニコニコ動画だけを扱ったのではバランスを欠く可能性があるので他のSNSなど個人情報を大量に取得する企業の利用規約についても比較しておく。
国内SNSの老舗のmixiの場合だと、「利用規約は一方的に変更できる」という定めはニコニコと同様にみられる。しかしながら、利用規約の援用するプライバシーポリシーで一定の歯止めがかけられていて、第三者への提供は(法令の定める場合を除き)業務の委託をする際にしか行なっておらず、またその場合もmixiの監督のもとで行なわれる。また、利用可能年齢も満15才以上からで、いちおうの分別はついている場合に限っている。
もっともグリーの場合は利用規約で援用するプライバシーポリシーで、相当に広範な第三者への情報開示の規程を定めている。
しかしながら、ミクシィ・GREE、その他のSNSは(1)アカウント登録制のために、いちおう個別アカウント情報として企業へ提供されていることがユーザに意識されていることと(2)匿名、かのように見えるコメントの書き込み機能がなく、保管・開示されていることについてユーザに不意打ちとなりにくいこと(3)政治アンケートのシステムがないことが大きな相違である。(これらのSNSを利用することが安全と言っている訳ではない。)
繰り返しになるがニコニコ動画の最大の特徴は「政治アンケート」へのこだわりである。政治・思想信条と、(極めてセンシティブな)動画閲覧履歴、コメント内容を同時に同じ会社が保有しており第三者へ監督なしに提供するというのはやはり問題性が高いと考えられる。
*本文にある「匿名性」というのはいちおうの便宜的な「自己の素性に対するアクセスへ一定のバリアを有していること」と考えていただきたい。いうまでもなくウェブ上では、IPアドレス、ISPへの情報提供、また各国政府機関(最も強力な例はアメリカのNSA)に対して「完全に匿名」というのは守り得ない。こう述べると用語の使い方として適切ではないと言う批判を受けるかもしれない。しかし、通常の用語で「匿名」というばあいもあらゆる情報が秘匿されており完全に個人の識別から自由な訳ではない。従ってあくまで匿名性の維持というのは、ウェブ上でも程度問題(Torや捨てアドの利用などによれば程度を高めることは出来るが、誰に対しても完璧というわけではない)だが、ウェブの外でもそれは同様である。
(本ページ:5月2日追記)
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