福島第一原発事故直後に、日本政府が行なったとされる最悪シナリオのシミュレーションで、1535本の燃料棒が溶融するとされていたところ、実は1096本の燃料が溶融した結果しか記述していないことが分かりました。これは政府・原子力委員会の計算から導きだされたもので、従来の政府発表では、有りうる被害をこれまで過小評価していたことになります。
この新たな計算は、現在進行中の東京地方裁判所における裁判手続きに、政府の原子力規制委員会の側から5月31日付けで提出されたものです。どういうことかというと、近藤駿介氏のシナリオ13ページで触れられる放射性セシウムの土壌汚染量から換算すると、溶融するとされる核燃料は、燃料棒1096本分にしかならないということです。
つまり1535本の燃料全てが本当に溶けていた場合にくらべて被害が3分の2に過小評価されていたことになります。
(今年5月に、政府の原子力規制委員会が作成・提出した計算結果)
加えて、この再試算は安倍政権になってから作成されたものであるにもかかわらず、政府は裁判外でそのことを公表せず、原子力発電所再稼働についての議論でも触れられることはありませんでした。これは政権が意図的に情報を伏せていたのか、それとも官僚を掌握できておらず情報があがってこないという政権担当者の能力不足によるのかは不明です。
(近藤駿介氏の最悪シナリオ12ページ。裁判上の書類では「本件資料」と呼ばれています。asahi-net.or.jpさんのアップロードされている全文は、こちらをクリックしてください。)
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(江藤貴紀)
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