ところでそもそも裁判の書類をどうやって見れるのかというと、実は150円のコストで原則的に誰でも見れる。ちなみに裁判所で訴訟記録を閲覧するときには、予め電話で連絡していくとスムーズである。書類の保管とか持ち出しとかも業務の一環、裁判所も普通の世の中であり、いわゆる「ホウレンソウ」が大事なのも一般社会と同じである。
大体において、裁判所の職員さんというのは丁寧で真面目な公務員である。ばっちりイメージ通りのちゃんとした人たちで、厄介なもめごとも円滑に勧めていくよう人生の経験というかトレーニングも積んでいる。だもので、言葉遣いは素晴らしく丁寧なのが普通であると思っていた。ところが今回の裁判についてはちょっと違った。連絡してるときに裁判所の職員さんのやり取りを聞いていたら「管と安倍の事件でね」とおっしゃっていた。大体なら普通の人に対しても「〜さん」とかつけるし、「管元総理」とか、「安倍総理」という呼び方をするかと思っていたが呼び捨てだった。
真面目にその職員さんの進退に関わりそうなのでどの時点でどの職員さんが言ったかは秘する。だけど雑に「管と安倍の事件でね」と言ってしまうということは、たぶん東京地方裁判所のスタッフの間では「管と安倍」の話なのだ。そう呼ばせてしまう原因がこの事件にはあるのだろう。
管総理のほうが求めているのは、①安倍総理のメールマガジンのバックナンバーの削除と、②2年間安倍総理のメールマガジンに謝罪文を掲載し続けることと、③損害賠償を1100万円はらうことだ。
ちなみに損害賠償請求額の内訳は
①慰謝料1000万円
②弁護士費用 100万円
である。
ところでこの100万円という弁護士費用の算定が、まず気にならないだろうか。訴訟の「難易度や費消すべき時間などを勘案すれば100万円が相当」というのが菅直人サイドのいい分であるが、それならもうちょっと高くてもいいだろうと思う。実は管さんが控えめな人柄という可能性もあるがそれは留保しておくとして、「元総理と現総理が福島第一原発事故について裁判やって、たった100万円かい!」と突っ込んでしまいたくなる。なんともチープ感いっぱいである。(というか値段が本当にチープなのだから仕方がない。)
ちなみに軍勢、というか弁護士の人数は管サイド1名、安倍サイド3名の合計4名である。その陣容を説明すると
菅直人総理側・・・東京都千代田区紀尾井町・ミネルバ法律事務所の喜田村洋一弁護士 (1名)
安倍晋三総理側・・①東京都千代田区内神田・古屋法律事務所の古屋正隆弁護士、②東京都千代田区麹町・橋爪法律事務所の橋爪雄彦弁護士、③東京都千代田区霞が関・隼あすか法律事務所の岩佐孝仁弁護士(合計3名)
今のところ、何かまだ小さい感じである。ちなみに、裁判をするときは始める方がまず裁判所に費用を払う必要もあるけれど、今回に管総理側が払ってるのはお金が6万5千円(と、書類の受け渡し用に郵便費用を6000円いくらか)である。弁護士の数も、コストも、どうにも小ささが目立っている。
福島第一原発事故の最終的な損害額が何兆円だか何十兆円となりそうな割に、ゼロの数が何個も違う感じだ。これはやはり「管と安倍」と呼び捨てにしていいと思う。ちなみに次回の裁判は東京地方裁判所の712号法廷で、11月21日の10時30分からであるが、あんまり大した内容は出てこない雰囲気なので正直期待しても無駄だと思う。(だいたい、訴訟をやってる管氏も安倍氏も受任した弁護士も、まったくこの裁判にやりがいを感じてないのだろうという雰囲気だ)
トップ画像のイギリス名誉革命について、無血な革命だったとか実際はオラニエ公による侵略であったとか、終わってから300年たっても議論が続いていて(あるいは、時間がたって余計に藪の中に入って)真相は明らかになっていない。今後もずっと明らかになることはないだろうけれど、正直思う。
もしもここで、歴史は繰り返すと考えるなら、福島第一原発事故もいろんな真相は闇の中に消えてしまうのかもしれない。が、せめてそうならないように努力だけは今の我々にも出来る。例えば、元総理と現総理の裁判を調べて、その人たちが真面目に本当のことを明らかにしようと努力をしている人かどうかを検証することだ。ただ、人は自分がするべきことを他人に期待してはいけない。ぼくたちは、ぼくたちが出来ることをするべきなのだ。例えば、新潟県の泉田県知事が8月28日に言ったように、ぼくたちは歴史に対する責任を負っている。
間違っても、パフォーマンス・フリークの管総理と勉強熱心な家庭に育った割に、(歴史も含めて)勉強が苦手そうな安倍総理にはそれを期待してはいけない。名誉毀損の訴訟をやってる最中に、同時代の人から「管と安倍の事件でね」と呼ばれるほど不名誉な(元)総理たちなのだから。