アメリカ軍・国防総省が、福島事故直後に作成した「トモダチ作戦」文書の一部が、本誌の情報公開請求により公開された。開示されたのはアメリカ太平洋軍(USPACOM)戦略部門のブリーフィング用・パワーポイントで、多くがSECRET(機密)指定をされていた。
Fileはページごとにランク分けされた機密指定がされているが、多くがファイヴ・アイズ(米・英・加・豪・新)内部での閲覧に限定して作成され当事国の日本は共有対象に含まれていない。指定の通りに配布されたとすると、日本政府や東電などへは渡されなかったことになる。
(米国NRC・原子力規制委員会の立てた「5本の最悪シナリオ」をベースに米軍も作戦行動を立てていたことが分かる。なお右上に「ACGU」とあるのは、アメリカ、カナダ、英国、オーストラリアの4カ国を指す。日本は文書の配布対象の「TOMODACHI」に入っていない。)
(これは「FIVE EYES 限定」の作戦文書。やはり、こちらも日本は配布対象に含まれていない。通常の同盟関係・情報共有のスキームをそのまま運んできたものと思われるが、当事国であっても蚊帳の外というのはやや寂しいきらいがある。なおこのFIVE EYESという表現は、加盟5カ国の諜報機関の連携(UKUSA協定)を踏まえたものであるから、開示文書から削除された部分には衛星写真や通信傍受などに基づく情報が含まれているようにも見える。)
筆者の所見では今回公開された米軍文書はNRCに比べて機密指定が厳しくまた公開の範囲も狭くとられている。これからの開示の範囲がどれほどかは不明だが、引き続き国防総省文書のその他の部局(例えばアメリカ国家偵察局)から文書の開示が予定されており、作成文書の共有指定国も含めて非常事態時の米国の「相場観」を知る資料として貴重と考えられる。
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【編集長 江藤貴紀】
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