(矛盾の解消を訴えている、えびさわけいこ文京区議会議員(51)HPより)
自由民主党の海老澤敬子(えびさわけいこ)文京区議会議員ら文京区の地方議員4人が、自身が代表を務める自民党支部に、平成23年から25年にかけて自分で寄付を行い(合計で4040万円)、そのぶん自分個人の所得税や住民税などの控除対象と出来る会計処理をしていたことが、東京都に提出された政治資金収支報告書から分かった。
さらにこれら政党支部の支出はほとんどが政治資金収支報告書に記載不要の少額支出や人件費となっており、ブラックボックスとなっている。これらの所得税などで実際にいくらの税金を控除されたかは政治資金収支報告書の記載からは不明だが、制度上は最大で、寄付金の3割の所得税控除を受けることが可能である。
まず、自由民主党の海老澤敬子(えびさわけいこ)文京区議会議員が、平成25年に自身が代表を務める自由民主党東京都文京区第16支部に年間430万円、平成24年に430万円、また平成23年にも430万円で合計1290万円の寄付を行っている。
(海老澤議員の政治資金収支報告書より。430万円の寄付をしているが、使途の明細は全く記載されておらずほぼ同年に使い切られている。そして翌年へは8万円しか繰り越しが残っていない。)
次に同じく文京区議の田中利周(たなかとしかね)氏(47)が平成25年に自由民主党東京都文京区第15支部へ400万円、平成24年にも400万円、そして平成23年にも400万円で、合計1200万円の寄付を自己が代表を務める政党支部へ同じように寄付。
(「バラマキをやめ」とあるが、議員の特権的な節税を止めるのもやはりバラマキをやめるのと同じように、財政の健全化に寄与するのではないだろうか)
さらに、橋本直和(はしもとなおかず)文京区議会議員(62)は、平成25年に自身が代表の自由民主党東京都文京区第5支部へ400万円(氏は文京区議会議員だが、職業欄には「会社役員」と記載されている)平成24年に、400万円、平成23年に400万円で、合計1200万円を寄付して住民税・所得税の控除対象となる会計処理をしている。なお同氏は35歳のときに当選して以来27年間、地方議員を務めてきたベテランである。
(支出の目的については,具体的な記載が一切なく何に使ってもわからない書面になっている)
最後に、同じく文京区選出で東京都議会議員の中屋文孝氏(50)が、平成25年に自由民主党東京都文京区第2支部へ350万円の寄付をしていることも分かった(注*)。
ちなみに、以上は東京都がウェブ上で公開している直近3年分のデータから確認できた限りであり、過去まで遡れば寄付金控除の対象となる寄付の金額は、よりふくれあがる可能性がある。
政治家自身が代表を務める政党支部への寄付については2013年にも国会議員が、かつて地方議員だった時代のケース(それぞれ100万円と221万円)を産経新聞が報道して問題となったことがあるが、今回に比べたら0の桁が一つ違っており可愛いものである。
この処理を使えば、一般人には出来ない所得税や住民税の控除を政治家だけが出来ることになるため、政治家の間でもこの方法については疑問視する声がある。例えば「禁止するべきだ」(維新の党・松井一郎大阪府知事)との見解が上掲、産経新聞記事で報道されており、他にも東京都議会議員おときた駿氏が、ブログの中で簡潔に問題を解説している。
すなわち、「自分が代表者を務める政党支部に政治家本人が寄付しても、税額控除の対象となり、還付金をもらうことができるんです。※後援会は対象外で、あくまで政党支部のみ。さらにさらに、ここに悪質なカラクリが加わります。地方議員の政治団体収支報告書は、5万円以下の支出について領収書添付・報告義務がありません。つまり、「すべての支出は小口で、全部5万円以下でした」と言い張れば、何に使ったかは完全にブラックボックスの中。そして、この政治団体の代表者は政治家自身ですから、事実上お金の使い道は自分で決めることができます。」(以上、同議員のブログより引用)ということである。
実は、筆者の個人的な事情からこの件については記事にするかどうか迷ったが(自分にある種の利害関係が生じ得ることなので、報道すること事態でメディアとしてのフェアネスを損なう可能性がある)、地方議員の事例であるものの額が大きいことや、これまで同種の事例について先行報道が不十分だったこと、さらに他のエリアでも同種の問題が発生している可能性があることなどから今回、記事化することにした。
なお東京23区の議員が代表を務める政党支部の政治資金収支報告書については、この東京都選挙管理委員会HPから過去3年分の閲覧が可能である。
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