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LINE社、みずほ銀行、三井住友銀行との決済連携サービスで、計600万人分の口座情報を入手と推定 情報漏洩のリスクを試算

2014年10月10日06時30分
カテゴリ:国内

LINE社、みずほ銀行、三井住友銀行との決済連携サービスで、計600万人分の口座情報を入手と推定 情報漏洩のリスクを試算

インスタントメッセンジャーアプリのLINE社は10月9日、みずほ銀行と三井住友銀行の銀行口座情報、それにクレカ情報を紐付けして、アプリ上で決済が出来るサービスを開始すると発表した。


しかし、LINEは全ての通信が韓国政府・諜報機関の国家情報院に傍受されているとの疑惑が報道されている。それに対してLINE社は、水準の高い暗号を使用しているから大丈夫であるとの説明を繰り返すばかりある。また韓国国内でのサーバからの直接のデータ奪取の可能性も触れず、説明が十分ではない。


説明が十分に出来ないと言うことは、本当のことを言えないとも受け取れる。端的に言うと、韓国の情報機関などに、日本人ユーザーの口座情報が把握されて、勝手に資金移動される危険があるということだ。日本人の金融口座情報が韓国に漏洩する危険がある。


となると、LINEの決済サービスを利用した人間の当該金融機関情報が全て、情報機関やハッカーへ漏洩するという最悪の事態を検討すればどうなるだろう。そのときに日本が被るダメージはいかほどかを、ダメージコントロールの観点から試算する必要がある。ここでLINEの利用者数とみずほ、三井住友の口座開設者数、オンラインバンキング使用者数などから、LINEに補足される口座数を概算してみる。


まず、LINEのユーザー数はどれくらいだろうか。これについては、10月9日の報道で、アプリのダウンロード回数が世界で累計5億に達するというものの、MAU(毎月、利用しているユーザーの数)1億7000万にとどまった。つまり残りはインストールしただけで滅多に使っていないと言うことだ。


日本での利用者が世界で占める割合は、世界中で5億人いるうちの5000万人、つまり10パーセントである。次に日本でのMAUを出すと、世界でのMAU数に、日本でのユーザー割合をかけて1億1700万÷10=1170万人となる。

(*ただし、日本ではアクティブなユーザー率は世界平均より高いかもしれないため、その場合はこの試算よりその数は多くなる。)


次に、日本の中での三井住友とみずほ両行の使用率を考える。三井住友とみずほの口座数をまずはみて見よう。口座数では三井住友で2500万人が6100口座を開設している。(参考として、開かれている口座数は全国の信金で1億7000万、郵貯が3億5000万であり、地銀の総口座数は不明であった。)同行の預金者で、オンラインバンキングのSMBCダイレクトを利用しているのが1000万人とある


一方、みずほ銀行では個人預金口座数が2,600万口座で、オンラインバンキング利用者が1000万近く、うちスマホからの利用者が400万と増加傾向である。


(口座数自体は余り当てにするべきではない。というのは、一人で同じ銀行にいくつかの口座を開設することが可能な上、開設した物の休眠同然になっている口座があるからである。口座数よりはオンラインバンキング使用者の数を用いた方が、オンラインバンキングと同じく通信サービスであるLINEを通じて決済を行う人数のベースになると思われる。従って三井住友とみずほのオンラインバンキング使用者数に、日本人の人口に占めるLINE使用率をかけると、日本のユーザーがLINEを使用して決済サービスを行う人数に近い数字の参考になる。

もっとも、ここでは実際のLINE決済サービス利用者数の算定に、2つの不確定な要素が存在する。従来オンラインバンキングを使用していても、LINEのセキュリティに不安を持つユーザーはLINEを使った決済には移行しないであろう。一方で、LINEのインターフェースが優れているなど、便宜性が高い場合には、従来のネットバンキングよりもユーザー数が伸びることになりうる。ここではその2つの要素は、概算の単純化のため捨象してある。)


そして、三井住友とみずほのオンラインバンキング使用者数を足すと、三井住友とみずほでそれぞれ1000万人ずつであり、足せば2000万人となる。それに対して、LINEのMAU(ダウンロードしたLINEを一ヶ月の間で実際に使った人数)が全ユーザに占める割合(5億÷1億7000万)、約30%なので、両社をかけると 2000万×30%となり、600万人ほどがLINEを使って決済サービスを利用すると算定できる。

ただし、いくつかの留意が必要である。まずLINEのユーザーは比較的若年が多いことから、学生などの場合はそれほど今の時点では、大金は持っていないかもしれない。さらにネットユーザーであればLINEの使用率は当然、人口中の使用率よりは高くなるはずである。また、単純化のために(1)メインバンクは一つと粗雑に仮定して、サブバンクの存在は捨象してある。(2)また、現在、導入が進められているかどうか不明な法人取引は含まない。(3)ただしその代わりMAUを全てかなりアクティブなユーザーと見なすこととして多めに見積もることで、なるべくバランスを取ろうとしてある。


今後LINE社がサービスをどれほど拡げるかは不明だが、かりにこれらの口座から資金が第三者により奪われた場合、その補償額でいずれかの会社が傾く可能性や、補償が足りなければ大規模な消費者問題に発展する可能性がある。


(補遺 10月9日追記:韓国では、カカオトークというLINEと酷似したアプリソフトを用いてクレジットカードで買い物を行えるサービスが開始される見込みという報道がある。この場合も、LINEと同様に(1)カード番号流出でユーザーが損失を被るリスクと(2)個人の買い物履歴が政府ーーこの場合、サーバーの所在する韓国政府ーーに把握されてしまうと言う危険がある。


なおカカオトークはLINEの親会社であるネイバーの共同創業者キムボムス氏が設立した会社が、LINEに一年先だって韓国内でリリースしたアプリである。今年6月に野党副代表の関係者3000人分の通信記録いっさいが差押えを受けて問題となったが、筆者の考えではカカオトークは元々、韓国国内の通信トラフィックを容易に監視できるようにするため開発されたアプリである。そして一年遅れてリリースされたLINEはカカオトークの海外版であり、外国での情報収集アプリの性格を持つと思われる。)


以上はあくまで、現在の時点で可能な概算である。不明なパラメーターが多いため実際の数字がいくつになるかは不明だが、さしあたりの計算とそのためのフレームワークの例を提示しておくことは有意義と考える。仮に、仮定していた数字の一部が事実と齟齬していたりあるいは他の新しい変数があれば、式を立て直せばよい。


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