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原子力規制委員会・田中委員長 今年8月、米エネルギー省長官に書簡「高速炉からのプルトニウムを引き上げを努力」・・・もんじゅ分も含むと読める文面 アメリカ情報公開法で判明

2014年12月13日06時42分

原子力規制委員会・田中委員長 今年8月、米エネルギー省長官に書簡「高速炉からのプルトニウムを引き上げを努力」・・・もんじゅ分も含むと読める文面 アメリカ情報公開法で判明



原子力規制委員会の田中俊一委員長が、アメリカエネルギー省のアーネスト・モニス長官へ当てた2014年8月6日の書簡で「Fast Critical Assembly(FCA:高速炉臨界試験装置、高速炉臨界集合体)からプルトニウムを引き上げるため原子力規制委員会として努力したい」という所見を示していたことが分かった。


これはモニス長官と面会した後に送られた文書が、アメリカ連邦情報公開法に基づき開示された中で分かったもの。じつはこの書簡には二つの見方があり得る。まず一つは、茨城県の高速炉から330キログラム相当のプルトニウムをアメリカへ返還するという、今年2月に日本政府が示している立場を確認したと見るもの。この場合は、高速炉からのプルトニウム取り出しも当然に、その路線に沿ったものとみられる評価できる。ただFCAの日本側所管省庁は文部科学省であり、(原子力規制を担うとはいえ)所管外である原子力規制委員会の委員長に面会してまで米国側のエネルギー省長官がその点の念押しをしてきたというのは、米国側の強い意向の現れと読めるかもしれない。


そして2番目は、書簡が「Fast Critical Assembly」としか述べておらず、茨城県のもの、とか何キログラムなどといった限定を付していないのでもんじゅのものも含めたプルトニウムの取り出しを行うという意向をアメリカに示したものという見方である。文法的にはこの読み方も可能(というか正当)であるため、その場合にはもんじゅの計画中止という意向を(権限の所在はともかく)原子力規制委員会の田中委員長が米国側に示したということになる。


ただ、実際の所は、あまり錬らずに英文を書いてしまったので後者の読み方も出来るようになったという可能性が高いように思われるが、その可能性も全くは否定しきるだけの証拠はない(筆者自身も答えが得られるなら取材したいが原子力規制委員会の会見は原則として記者クラブメディア関係に限定されているため、国会議員には是非、次の国会ででも質趣意書を出して欲しい話である)。いずれにせよ、政府高官の間で交わされる文書で意味が曖昧かつ、結論が大きく変わるというのは好ましくなく、この様な文面で田中委員長は書簡を書くべきではなかったと思われる(事務局のスタッフを含めて、原子力規制委員会の注意力に不安が出てくるところである。あるいはあえて玉虫色の表現を使わざるを得ないような詰められ方を米国側から受けたのだろうか)。




また同時に、近藤俊介原子力委員会委員長(当時)が福島第一原子力発電所事故の際、3月12日に同省のポネマン次官へおくっていたことが米国原子力規制委員会の開示文書で判明した、「福島第一原子力発電所からの風向きは、海の方に流れている」という文書についてはエネルギー省にないことも分かった。



(開示請求とした対象の文書)


これは(1)近藤俊介氏からポネマン氏の個人アドレスに送られたため、公文書として残っていないという可能性もあるが、(2)米国側の今回の応答でのミスの可能性などもある。さらにアメリカ連邦情報公開法では場合によって(3)記録が存在していても、あえて無いと答えるExclusionという対応が1986年に制定のU.S.C.セクション552(c)を根拠に認められている宇賀克也『情報公開法―アメリカの制度と運用』77項参照。そのため、エネルギー省へ改めてこの件のメールが存在しないかを情報公開法・上訴手続で確認する予定である。


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【江藤貴紀】


 

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