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ホットリンク社、攻撃的SEO「ランクチェンジャー」を大株主・日立へ知らせずに上場

2014年6月7日18時32分

ホットリンク社、攻撃的SEO「ランクチェンジャー」を大株主・日立へ知らせずに上場

2ちゃんねるの書き込みデータやTwitterのビッグデータを扱うホットリンク社が、上場する際に3%の株式を保有しており、第3位の株主であった日立システムズ社へ、サイト検索防止ビジネス「ランクチェンジャー」(詳しくはここのリンク参照)の説明をしていないことと、現在の2ちゃんデータ収集タイミングも説明していないことが分かった。


日立システムズは日立製作所社内カンパニーで、IT関係部門を担当する中核企業の一つ(従業員数10851人、単独売上高3399億円)である。


このうちランクチェンジャーは企業に取って都合の悪い内容を書いたサイトを検索エンジンに引っかかりにくくするサービスである。例えばだが、FX投資やレーシックの業者について顧客が苦情や副作用を訴えている内容の載ったウェブサイトがあったら、そのサイトが検索の1ページ目にこないようにするものだ。そうやって例えばだが、FXやレーシック業者を悪い評判から守るサービスだ。



(ホットリンクと合併したガーラバズ社のリリースから発見されたランクチェンジャーの説明資料。)


言い換えればこれはカネでネット上の言論を左右するサービスであり、クライアントの利益にはなるかもしれないが、社会全体として必ずしも好ましいとはいいがたい。というのは、様々な苦情について、顧客の言い分(ex.○○証券で、ぜったい儲かると言われてXX社の株を買ったが、半年で1000万も損をした。担当者にどういうことかと問い合わせたが、彼女はあっという間に転勤になり、他の社員からはそういう話は知らないとあしらわれている)が正しかった場合に、そのような有益な情報が認知されることが遅れるからである。ホットリンク社の資料では「悪意」から顧客を守るとあるが、敵対的なサイトが「悪意」を持っているかどうかを、ホットリンク社においていちいち確認してからサービスをしているのだろうか。(むしろ黙ってこっそりやっていることが多いのではないかと思われる。)


一般論としてだが、このようなサービス(逆SEOと呼ばれる)は運用方法次第では、偽計業務妨害罪罪等の成立する余地があると思われる。またやられた(標的になって順位を下げられた)側が、もしホットリンクからその被害にあった事実を知れば、訴訟沙汰になる可能性がある。(もしホットリンクが自分はトラブルに巻き込まれるのがいやで、「ターゲット」へ知らせずにコッソリやっていたら、もう社会的にダメなレベルの事業と思われる。)なお日立システムズにおいては上場時にこのサービスの存在は知らず、販売もしていないということであった。(なお、いつ知りましたかと聞いたら、(1)所管部署では上場以後までしらず、その後のどこかの時点で知っていたようだが、広報部としては今回の案件で初めて認知したというご回答をいただいた。)ホットリンク社はこういう法的に問題の余地があるサービスを有価証券報告書に記載せず、また第3位の株主にも説明せずに上場申請しているので、東証の情報開示に関する規程に違反している可能性がある。


また、2ちゃんねるからの5分間きざみのデータ収集能力は、ワールドビジネスサテライトに出演したホットリンク社の内山CEOが昨年、ネット上の「炎上」を防止するための同社サービスの売りとして紹介していたものである。しかし、現在2ちゃんねるは2ch.scと2ch.netの2つに分裂して対立する別会社が管理していることからいくつかの問題点と疑問点が湧いてくる。




(©WBS)


まず、2ちゃんねるデータ取得の契約相手方がどこかということが問題である。これについて、日立システムズは「自社が答える立場には無い」という。しかし、ホットリンク社の説明によれば、いずれも西村博之氏が取締役を務める未来検索ブラジル社(麻薬特例法違反で、警視庁から捜索差押を受け、その捜査について損害賠償請求を求めて裁判中)と東京プラス社であることが、成瀬功一郎COO・取締役に対する弊社インタビューにより判明している。しかし、2ch.netはジム・ワトキンス氏が社長を務めるレースクイーン社が現在管理して、また所有権も主張しており、ひろゆき氏とジム氏の間で紛争中なのだ。


もしJIM氏の言い分が正しい場合は、日立システムズは著作権法ないし不正競争防止法に違反して、権利侵害をしたデータを販売していることになり、日立システムズ自身と、場合によってはそれを利用していた顧客も損害賠償請求などのリスクを負うことになると思われる。


また、本当に5分間単位のデータ収集が出来なくても問題ないのだろうか。日立システムズによれば「午前5時に締めたものをそれを同日の(つまり2〜3時間後の)午前7時から午前8時に提供」していることを顧客に説明しており、同意を得ているために、日立システムズと顧客との関係では問題がないという*。ただし同社は2ch.netと2ch.scそれぞれへの「クローリングの所要時間については把握していない」こともわかった。もしトラブルの影響でデータ収集タイミングが遅れていても、法的な問題がないという契約になっていたら、トラブルの生じた場合の危険は顧客が負うということである。さらにはそもそもクローリング時間でトラブルが発生しても販売会社の日立システムズから説明も出来ないとしたら、顧客はますます泣き寝入りな契約だ。


これらから、ホットリンク社(東証マザーズ3680)においてはそのデータ収集タイミングを公表していないため、株主や投資家に対するIR上の問題が生じてくる余地がある。(場合によっては適時開示の規程等に違反している余地もある)つまり、(1)日立システムズの顧客に対しては、クローリング遅れしたときに危険の負担について顧客側が負うことの説明と同意が得られているので問題が無いのかもしれないが、(2)証券市場においては、このデータ収集と提供が今も5分間おきに可能かどうかは一般に知らされていないため問題となる。**5分間おきのデータ収集がホットリンク社の売りになっているので、もしそれが不可能になっており、午前5時までに収集できるデータが古いものになっているとすれば、投資家にとって重要な情報だからである。


 

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