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ルーマニア大使・ラドゥ・シェルバン氏インタビュー「ロシア・クリミア侵攻の経済的代償は高くつくだろう」

2014年5月11日06時59分

ルーマニア大使・ラドゥ・シェルバン氏インタビュー「ロシア・クリミア侵攻の経済的代償は高くつくだろう」

ルーマニア大使のラドゥ・セルバン氏(経済学博士)に、昨今の国際情勢及び日本・ルーマニアの情勢について、ルーマニア大使館(東京都・港区)で本紙はお話を伺った。ラドゥ大使はソビエト・EUなどで長らく各種経済交渉に携わっている経験を持つ。



ーーまず、近日あったロシアのクリミア侵攻について大使のご意見をお願いします。


大使:ウクライナ情勢についてはルーマニアとして非常に懸念を持っている。そしてプーチン氏の意図について困惑していると述べたい。いったい彼はどこまでロシアの勢力圏をのばそうとしているのだろうと言う疑問がある。同じ不安は、バルト三国やポーランド、その他の旧東側ヨーロッパ諸国も共有しているはずだ。


だがロシアが現在つづけている強気の対外政策は、かつてソビエト連邦時代に直面したのと同じ問題に悩まされると思う。つまりーー経済上の課題だ。ソビエト連邦崩壊の原因は、増大した財政支出であるというのが歴史の教訓だ。そしていま再び、ロシアも同じ局面に直面している。


新たにクリミアを獲得したことで、ロシアは無視できない経済上のコストを負担する必要がでてくる。つまり電力やその他のエネルギーをクリミアに供給して、軍事部隊を配置するなど、あらゆる面でロジスティクスの問題を抱えることになる。


ーー次に、エドワード・スノーデン氏が昨年行なった大量の秘密暴露についてご意見をお願いします。


大使:国家への裏切りだ。NSA・アメリカ国家安全保障局の先進的な情報通信技術が暴露されたおかげで、アメリカのライバルは同じ種類の政策を導入するだろう。そのために祖国の技術的な優位性は間違いなく損なわれる。


私個人も、インターネットを使うことはあるし、そして本国にいる家族と非常に手軽にコミュニケーションが取れる。その恩恵を私たちは被っているわけだが、何事にも、コストというのは付き物だ。エドワード・スノーデンの暴露した米国政府の実践に伴うコストはその避けがたい代償の一種だ。元・アメリカ大統領のジミー・カーター氏が最近、述べたように通常の手紙を使うという方法を使えば、別にNSAの探知プログラムに引っかかることはない。


ーーいまの日本国内の情勢について、ご意見をお願いします。国内では原子力発電を再開することの是非について激しい議論が戦わされています。また領土問題も存在しています。(インタビューアーの個人的な意見になりますが)私は尖閣諸島の問題について多少悲観的です。場合によっては、ここ20年かそこらのうちに、尖閣を失う可能性も意識しています。さらに北方領土についての解決も困難だと思うのです。これまで70年間もロシアが占領してきたことを考えると、手放してくれるかどうかも疑問です。


大使:日本の国際関係について申し上げると、「プラグマティッグ(現実的)」になることが非常に重要だと思う。尖閣を巡る日本と中国の緊張については、日本側として、非常に悪いケースを含む、数多くの有り得る事態を予測しておく必要がある。

(ある日本人が私に述べていた例だが、何千人もの「中国人漁師」が尖閣に押し寄せてきた場合、どういう風に対処すればいいだろう?)


また北方領土については、楽観的になりすぎない必要がある。実際、ロシアというのは世界で最も有名かつ優秀なPKO(PIECE of Land Keeping Operation・領土占領作戦)プレイヤーだからね。近日のウクライナ情勢を考えたら、ロシアが、日本に北方領土を返してくれる理由をがどこにあるというんだろう?


 

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