ウズベキスタン国内のコンドーム普及運動に対してウズベキスタン政府が弾圧を行い、NGO指導者のポポフ氏(28才)が懲役7年の刑を受けたことと、コンドーム使用方法について詳しく書いた文書の配布を禁止したと、駐ウズベキスタン米国大使館が2010年2月に(わざわざ)機密公電で報告していたことが、WikiLeaksの暴露で分かった。
それによると、HIV/AIDSの感染防止のために、性交時のコンドームの正しい装着方法についてのとても克明な描写や、注射針の使い回しを避けるように説明する冊子を配っていた行為が「ウズベキスタン国の伝統」に反しており、また猥褻などだという理由で処罰されたという。*
表現の自由に対する弾圧やエイズの蔓延防止など、問題点は多くある事件でありまた同国の悪名高い独裁体制下の状況を記すものとしては、確かに価値の高い情報なので本国に報告したのは理解できる。
だが、わざわざ機密指定をする必要があったのかどうかについては疑問がある。情報自体の内容は、センシティブというわけではなく、また公電によるとスパイなどがもたらした話ではなくジャーナリストの報道に基づく情報である。
一般にだが、ウィキリークスに漏洩した25万点の国務省公電を見ると、不要に広い範囲まで機密指定をかけてある。そのためウィキリークスのサイト内で絞り込み検索(機密指定区分や発信された大使館などでサーチすることが出来る)を行う場合にも、意味のある情報にたどり着くのは非常に骨が折れる。
(外交公電についての詳細な絞り込み検索ページ)
おそらくこの煩雑さは、アメリカ政府内部の関係者にとっても同様で、そのために適切な文書の検索がたいへん困難になっていると思われる。
我が国でも昨年に成立した特定機密保護法が、今年の12月中には施行される。だが、何でもかんでも機密指定をすると、当たり前だがどれが本当に重要な情報かが分からなくなるので秘密指定をしてしまい過ぎないようにということが、この公電からえられる教訓である。
*他に、不適切な財産の運用も罪状としてあげられている。ただしリポートは作成者のコメントとして、それがNGO弾圧をする口実として使われうると指摘しており、この部分の真偽は不明とする。
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