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「安倍晋三総理の意思決定は独善的」アメリカ大使館機密文書 飯島勲氏が主要な米国情報源の一人〜ウィキリークス漏洩公電から判明

2014年9月14日20時21分

「安倍晋三総理の意思決定は独善的」アメリカ大使館機密文書 飯島勲氏が主要な米国情報源の一人〜ウィキリークス漏洩公電から判明



第一次安倍内閣時に、日本のアメリカ大使館が作成した機密文書の中で、安倍晋三氏への評価として「身勝手な意思決定」をするという評価があることが、WikiLeaksへ漏洩したアメリカ国務省の文書から発見された。


文書の作成日付は、2007年の参議院選挙で与党自民党が敗北し、次期の内閣改造が待たれていた8月24日。新内閣と自民党役員人事の予測が主題で、文書の格付けはConfidential (機密)となっている。


その中では、国会議員、ジャーナリスト、学識者、自民党の内部などに大使館員が会って広く情報を調べたものの、誰もが組閣の見通しを知らず、また安倍氏のワンマン的なスタイルを批判していたーー組閣のさきゆきについては見通しが付かなかった結論づけられている。




(安倍晋三総理は外部からの意見に聞く耳を持たず、物事を決めているという米国政府の分析。)


また、具体的な情報源とその情報への言及もある。例えば、河野太郎議員はアメリカ大使館職員と交わした会話で「安倍総理は個人的には森喜朗氏のことを軽んじている」という。また、「安倍氏はあえて自民党の重鎮である森氏の意向を無視することにより、自分が古参議員たちの影響力から自由であることを印象づけたいのではないか」とも述べている。*


さらに日本のマスコミの論調について公電は「安倍総理個人の内在的論理の分析に欠けて」おり「私が総理ならこうするものをという(あたかも自分が政策決定者のような)記事が多い」と評している。



(「If I were Prime Minister な観点が多い」との記述である。)


特筆するべきは小泉純一郎氏の元総理大臣秘書官・飯島勲への情報源としての強い信頼である。彼はおそらく英語が全く出来ないが、複数の大使館員が彼と接触をしている。そして文書の結論部分でも飯島氏の見解が挙げられて、議員ではないものの最大級の有力な情報源であるということを意味している。



(組閣発表のタイミングについてなど、飯島氏の意見がそのまま参照され、打電されている。)


なお、ソースとして名前が挙げられていた国会議員は河野氏の他に渡辺喜美氏(当時行政改革大臣)と林芳正氏、公明党の草川昭三氏である。

アメリカ国務省の文書では、外国の政治家について英会話力を記載する場合が多く、日本での傾向として英語の流ちょうな政治家(河野氏はしばしばCNNに出演、林氏もハーバード大学大学院卒。)が情報源として利用される場合が多いようだ。これはおそらくアメリカ大使館員の中で日本語が出来る人材と、信頼を持って使用できる通訳の数が限られていることに起因すると思われる。


いま、2014年9月でも、再び参考になりそうな記述もある。河野太郎氏の当時の見解として「組閣までは、(遠慮で)総理に批判的な見解は党内で控えを見せているかもしれないが組閣終了後には、人事で冷遇されたものたちから、すぐに安倍内閣へ攻撃の矛先が向くだろう」と伝えられている。


今年9月の新内閣改造についても、米国大使館は同様のレポートを作成していると思われるが、前回の安倍内閣当時の文書を参照すれば、今回の情報源も内容についても一定の推測が付きそうである。


*もちろん、これは河野氏がアメリカ大使館職員にこう言ったというレポートであって、本当に安倍晋三氏が森喜朗氏を軽んじていたかどうかは別問題である。河野氏の発言にも当然に、例えば安倍氏や森氏を、こきおろしてやりたいなどの思惑が混ざりうるから必ず額面通りに受け取っていいというものではない。だがオルタナティブな見解は紹介されておらず、筆者の感想ではアメリカは余りにも河野太郎氏と飯島勲氏に情報源のウェイトを寄せすぎているように見られる。


なおウィキリークスは、国防総省のイラク、アフガンにおける作戦文書や25万点のアメリカ国務省文書を収集、発信していたものの、その文書が日本メディアで活用されることは、英語圏その他に比べて少なかった(もっとも皆無ではなく、時事通信社などは小規模な特集も組んでいるが海外メディアに比べればやはり少量である)。


しかし、WikiLeaks文書はその内容自体に加えて、多くの今まで顧みられなかったかあるいはそのための情報源が不足していた視点をカバー出来る。例えば、(1)アメリカは日本の何をみているか、(2)その理解は適格か(日本についての理解が十分でない場合、外国についても読み違えていることがあり得る)、(3)日本で語られないポイントを発見出来ないかである。従って、仮に内容や予測自体が周知だったり外れだったりしても、その結論に至るまでの過程を知ることにはまた別個の価値がある。



(公電の見出しより)


例えば、3日後の機密公電(ハイパーリンク先参照)では、鳩山邦夫氏について(Although)と付して、「東大法学部公法コースを卒業しているものの、これまで閣内で法務関係のポジションに着いたことがない」とある。しかし東大法の公法コース(必修科目の関係で国家一種と科目が被るため、官僚志望者はこの専攻を選ぶことが多い。)卒の政治家で、法務行政関係のポストについていないのは珍しいことではなく、わざわざAlthough と記載しているアメリカ側担当者の日本政治や人事に関する背景知識に欠陥がありそうだなと推測できる。

なお、論者によってはウィキリークス側による文書改ざんを疑うべきとの説もあるが(実際、アフガン戦争国防総省文書などの、安全保障に関する部分などは報道各社との協議に基づいて変更・編集が加えられた部分もあるとされる。ただし国務省公電については未編集のままとされる。)、さし当たりその留保を付けた上でお読みいただきたい。


最後に、海外政府のものであっても流出した機密文書の利用・報道・配布には問題があり、漏洩文書の内容を抽出・翻訳すること自体が無責任という見解もあり得る。しかし海外メディアでは多く報道に活用されており、するとその分、日本語メディアによって活用されていないと日本語圏としてハンディになると思われる。実際、各国政府機関の中にはウィキリークス担当ウォッチャーがおり、有料の速報サービスすら2011年時点で誕生していたという(別冊宝島「機密告発サイトウィキリークスの真実!」143項、黒井文太郎氏執筆箇所参照)。また、どのみち公開されてしまったのだから、「出たものは仕方ない」として報道するという考えもありえるし、そもそも漏洩文書の報道が無責任というならウィキリークス文書を報じたガーディアンもニューヨークタイムズもシュピーゲルも無責任ということになって、世界にろくなメディアは残らないという変な結論になるだろう。


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