LINE社の公表資料から算定したところ、同社は昨年の1月から6月だけで、App StoreおよびGoogle Playストアに約41億円の手数料を支払っていることが分かった。そして推定になるが、そのうちおそらく24億円強がGoogleへ払われていると概算できる。LINEの運営するNAVERまとめやライブドアブログのまとめサイトは、内容がスパムなのに検索でペナルティを食らわずにアドセンス契約はほとんど停止されない。これで不思議がる人もいるが、Googleは利潤を追求する私企業なのだから大口のビジネスパートナーを大事にしている、というのが最も筋の通る説明である。以下どういうことか、まずLINE社がグーグルへ支払っている額の計算から見ていこう。
LINE社がウェブサイトで公表しているアプリ事業の売上額と、売上の中の課金サービス(スタンプおよびゲーム)の割合から算出すると、同社がApp StoreやGoogle Playストアに支払った手数料の総額が目算できる。LINEの課金サービスを利用するにはLINEコインという仮装通貨の購入が2012年8月より必要となっている。
(アプリオより)
そして、昨年の売上は「GoogleやAppleなどのアプリストアに支払う30%の決済手数料を除いた金額のうち、開発会社との契約に基づいて」LINE社が「受け取る金額だけを売上として計上」したものである。Google PlayストアとApp Storeは、手数料がいずれも決済金額の30%である。
細かい話なので面倒な方は読み飛ばしていただきたいが、計算式は単純で「119億×0.8÷7×3×0.6≒24億」である。
そして概算方法は以下の通り。
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・LINE社のHPによれば、2013年1月から6月の有料アプリ関係売上は119億円である。そのうち約6割のゲーム課金と約2割のスタンプ課金はユーザーにたいして、専らApp StoreまたはGoogle Playストアを通じて請求されていた。
・ユーザーがLINEコイン購入に支払った額から、App StoreまたはGoogle Playストアが受け取る決済手数料(30%)を引いて、さらに開発会社へ契約に基づいて支払った額を引いた残りが、LINE社の取り分となる。
・もっとも2013年9月17日から「LINEウェブストア」がオープンして同9月30日からはコンビニ決済なども可能となった。(しかしそれ以前App StoreとGoogle Playストアを通してLINEコインは決済されているので、ここでは検討しない。なお、LINE社からグーグルへの支払を推定するために昨年の前半のみを用いたのは、シェアの不明なこの「LINEウェブストア」がまだ登場していなかったからである。)
・ここでLINEの有料サービスの2013年1月から6月の売上119億円のうち、アプリストアを経るゲームとスタンプの売上約96億円の配分割合はApp StoreとGoogle Playストアが、LINEから開発会社へ分配した額の合計で、7:3の割合になる。
・開発会社へLINEが分配した額は不明だが、少なくともLINEに残った売上96億円よりは大きな金額が、App StoreとGoogle Playストアの30%の決済手数料を引いた残額である。
・するとLINEの取り分96億円に7分の3を乗じた額、つまり41億円以上が、App StoreとGoogle Playストアへ決済手数料として支払われている。
・ここで、LINEの課金アプリに対するスマホとタブレット端末からの売上比率と、スマホのiPhone端末とアンドロイド端末で、1ユーザーがLINEの課金サービスにかける額の相違は不明である。
・しかし、1ユーザーの課金利用傾向がiPhone端末とアンドロイド端末で同等と仮定して、タブレットでのLINE利用(あまりないと思われる)を捨象すれば、アンドロイド端末とiPhoneのシェアから、アップル及びGoogle各々へのLINE社の支払額が推定できる。
・もっともLINE社は国ごとの売上を公表しておらず、また国ごとにiPhoneとアンドロイド端末のシェアが異なるため、幅のある推測しか出来ない。
・しかし2013年の7〜9月の新規売上についてみると、世界スマホシェアの約80%がアンドロイド端末であり、そのユーザーはアプリの購入にGoogle Playストアを利用している。
・日本では例外的にiPhoneの端末が多いが2012年の販売台数で63%がアンドロイド端末になっている。
・もっともそれ以前に売上げられたスマホのシェアではiPhoneの割合がより高かったと考えられる。だが当時の正確なLINE実装台数は不明なため、日本国内でのApp StoreとGoogle Playストアの、LINE課金サービスの内訳として60%ほどがGoogle Playストアであるという計算を近似値として用いる。
・すると2013年の1月から6月にラインの課金サービスから、Google Playストアが得た決済手数料は支払われた額は、仮に全てがアンドロイド端末の劣勢な日本市場で購入されたと仮定して、さらに開発会社がLINEから分配される額をゼロとおいても、41億円にアンドロイドの日本シェア約60%を乗じた24億6000万円ほどとなる。
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以上の通り、やや控えめな仮定を置いても去年の前半だけで、LINEはアプリ事業でGoogleに24億以上を支払っていると推認され、とても密接なビジネスパートナーとなる(もっともLINEの課金サービスが売上を伸ばすと支払額の増大要因となるが、一方でLINEウェブストアの利用率が増えるとGoogle Playストアに対する支払額の引き下げ要因になる)。
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