福島第一原子力発電所事故の、政府事故調において、吉田所長や菅直人総理等、当時の関係者をヒアリングした担当者の氏名一覧に対して、本紙が情報公開請求をしていたところ、(1)「東京電力福島原子力発電所における事故調査・検証委員会名簿」および(2)「東京電力福島原子力発電所における事故調査・検証委員会事務局名簿」について、本日開示決定がおりました。
このうち(1)は公開済みで、また事務局のうちも「事務局専門家」名簿は公開済みでした。しかし、今回の決定で政府事故調のヒアリングに当たったメンバーのうち政府関係者は、委員および事務局のみで構成されていたことがあらためて明らかになり、場合によっては、いままでヒアリングに当たっていた者の「事務局専門家」に参加していなかったメンバーの氏名が明らかになる可能性があります。
とすると、聴取内容等とあわせて、これらのヒアリング担当者の包括的な名簿は、ヒアリングに当たった方々に対する取材において重要な資料となってくる余地があります。
いっぽう同時に本紙が平成26年5月23日付けで請求していた吉田昌郎福島第一原発所長(当時)に対する調書の開示は、事務量が多いことを理由に、一ヶ月の開示期間延長通知がおりました。
この調書については、朝日新聞が今年になって全文を入手したとしてスクープ報道を行ない、内容が明らかになりましたが、政府の方では情報公開請求に対する開示決定に対して否定的な見解が示されています。
また、他にも情報公開請求をしている方がおられて、その方々は開示決定が降りない場合に訴訟を提起する旨が朝日新聞で報道されているところです。本紙の対応は、今のところ未定です。
なお、政府の中で原子炉の安全性審査を担当している原子力規制委員会の田中俊一委員長も、この調書は「読んでいない。知らない」「読ませて頂きたい」と述べた旨が報道されていました。ただし、委員長が知らなくても組織として原子力規制委員会が持っている可能性もありえるので、念のため、原子力規制委員会に吉田調書の情報公開請求を行なったところやはり吉田調書が原子力規制委員会には共有されていないことが確認されました。
後掲記事の通り、この調書は米国政府にも共有されていないことも判明しており、福島第一原発事故の教訓や検証の生資料として政府において、全く活かされなかった状態です。
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