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アメリカ政府・原子力規制委員会、福島第1原発事故の最悪シナリオを情報公開決定

2014年3月1日18時41分
カテゴリ:国内

アメリカ政府・原子力規制委員会、福島第1原発事故の最悪シナリオを情報公開決定

米国政府が、アメリカ連邦情報公開法に基づく情報公開請求に対して、福島事故直後にアメリカ原子力規制委員会が作成した5本の最悪シナリオのデータを2014年2月末に公開していましたが、今年3月末に改めて、気象条件を加味した推定被爆量のマップの一つを公表しました。


2月に開示されたのは10ページ分の文書で、NRCが予測した複数のケースについて放射性物質の放出量とタイミングが記載されていました。(モノクロに資料でしたが2014年4月9日、米政府にカラーバージョンへと差し替えていただいてます)



そして今回、3月30日に新たに発見された資料(78ページある中の、16ページ目と18ページ目)は、その記載から、冒頭にある画像の5本の最悪シナリオのうちもっとも上にあるバージョン・2号機からの放出のみを仮定したものと思われる汚染予測マップと、推奨される対策が示されています。これによれば、福島第一から東京方面へ217キロまでの範囲・面積にしておよそ35000キロ平方メートルにおいて、18才以下の子どもの甲状腺被爆量が50ミリシーベルトを超えることになり、KI(安定ヨウ素剤)の服用が推奨されるとあります。


このシミュレーションの作成に使用されたのはLODI(ラグランジュ式・飛散計測統合モデル)という米国気象予報庁のシステムです。更に、別の予測マップによれば首都圏方向へ182キロメートル以遠までのエリアにおいて、急性期被爆量が、一般人に対して米国政府の定める立ち入り禁止区域の基準に相当する、一時間あたり0.02mSVを超えることになります。


なお、米国気象予報庁のシステムを利用しているのは、NRCが保有していたRASCALという放射性物質の飛散予測システムの計算キャパシティをこえる放射能の流出が予測されたためです。追記ですが、これだけ広範囲の人口をカバーするだけのヨウ素剤は近隣の機関にしか当時は貯蔵が無く、そもそも絶対的な貯蔵量が、当時も今も絶対的に不足しています。なおかつ事故の最中に、一斉に大量の人間がヨウ素剤の配布や処方をうけて、服用するというのは現実策として極めて困難と思われます。また政府から公開されたバージョンのいわゆる近藤駿介・最悪シナリオは、緊急時の避難について触れているところがなく、今回の資料はその欠缺を補うものとして評価することが出来ます。


(3月31日注:資料の誤読で、「一時間あたり0.02mSV」の箇所を、年間20mSVのように誤報していたので訂正してあります。 4月7日および9、10日注:画像の一部を、新たに米国政府から提供いただいたカラー版へ差し替え、このページ下部の補足を追記しました。 )


 

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