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ニコニコ動画という表現のディストピア 政府与党との距離に比例した「アメとムチ」像【ニコニコ超会議】

2014年4月27日08時48分

ニコニコ動画という表現のディストピア 政府与党との距離に比例した「アメとムチ」像【ニコニコ超会議】



ドワンゴ社(東証一部上場)主催のイベント「ニコニコ超会議3」で流れる大手動画サイト「ニコニコ動画」の実況動画)


ネット世論が保守化したといわれるが、本当か。実際のところは保守よりの意見が、ユーザの目に触れやすい作りの仕組みになっている可能性があるのではないか、という疑問が、大手動画サイトニコニコ動画等を巡っても浮上している。あらためてこの問題に注目がされた発端は、2ちゃんねるによる有償削除サービスの存在疑惑だ(後掲リンク参照)。


ニコニコ動画の持つ政治的な影響力は、実のところ思いのほか大きい。振り返ると、2012年にはまだ与党であった民主党の興石幹事長がニコニコ動画の内容へ、偏っていると抗議を送り、それに対してニコニコ動画を運営するドワンゴ社も民主党へ抗議をおこなったことを自社の運営するニュースサイトで報道させる等していた。また自民党のネット活動団体・ネットサポーターズクラブ(J-NSC)の会長で衆議院議員の平井卓也氏が社民党の福島瑞穂議員に対して罵倒のコメントを書き込んだり、「あべぴょん、がんばれ」や「橋下、逃亡か」のコメントをニコニコ動画への投稿で書いたことを認めている。そのため、他の会員の活動も活発に、2ちゃんねる・まとめサイトにおいても行なわれている可能性がある。


そして、ネットユーザらの調査によって、2ちゃんねるの運営会社(東京プラス社および未来検索ブラジル社)と独占的なコメント削除サービスを契約しているホットリンク社の顧客に、与党自民党が存在していることが判明していた。ところで、ニコニコ動画内でのコメントを監視しているのも、NPO法人札幌未来チャレンジドによれば、やはり2ちゃんねる元管理人の西村博之氏が取締役である未来検索ブラジル社である。


つまり、自民党を契約先のクライアントに持つ会社が、ニコニコ動画でもコメントの監視サービスを提供している訳だ。そして、ニコニコ動画サイトの規約によれば不適切なコメントは反映されない(NGワード)こととなっている(ただしその基準は不明確)。監視は当然、削除の前段階で必要であるから、監視サービスをしている企業の契約先の顧客には、削除までの流れにおいて、有利になるような恣意的な扱いがあるのではないかという疑問だ。しかしそれだけでは「裏」のとれない陰謀論に過ぎない。(ちょうど論理構造としては「郵便局の顧客の契約先にX社がある」という根拠のみで、「X社へは郵便局が他より特別に便宜を図っている」と推論するのと同様であり、説得力を持たない。)



そのため、実際のところ大手動画サイト「ニコニコ動画」の扱いは、各党に対してどうなのかを、実際のイベントに参加して観察することにした。党首クラスを含む議員(自民党・安倍総裁、民主党・小西議員、共産党・志位書記長、維新の会・田母神氏など)らの出席した4月26日の「ニコニコ超会議3」(幕張メッセ)を取材した。もし、現実の(ネット上でない)扱いで偏りがあるならば、ネット上の運営でも便宜を図っていることの「傍証」にはなるためだ。


結論から言えば各党のブースに設けられた「格差」が、露骨だった。端的に、政権中枢との距離がブースの中身とコメント内容に反映しているように感じる。まず、自民党ブースは会場の導線に進んで最も手前にある。また、扱いも派手だ。そもそもアニメ風のいわゆる「痛車」ペイントを施した選挙カーがおかれており、その壇上から下に向けて語りかけることが出来る。




(旧・大日本帝国軍人のコスプレをした若い男性が自民党の党員に載せられ街宣車で、敬礼をしているのを来場者が撮影した画像。ツイッター、2ちゃんねるなどで広まっている。)自民党員は文字通り人の上に立つ存在であることを誇示でき、それが他の政党との最大の違いだ。



(昨年のものがニコニコ動画にアップロードされている分だが、これは天井に取り付けられた特別スクリーンの映像。「安倍総理、ご来場中」とあって格上感を醸し出す。野次のようなものは見られない。)


やはり与党である公明党はその次の位置だ。なぜか北九州市から、災害救助用の(日本で一台しかないという)T-53援竜という、福岡県のメーカーが作ったショベルカーを借り受けている(他の政党は自治体からの貸与等はない)。特定政党の出展に、自治体が便宜を持ったのだろうか。取材して調べてみる価値がありそうだ。ちなみにいうまでもなく福岡県は麻生ファミリーのお膝元である。

なお他社で一つ無邪気に「面白そう」という報道があるが、本気でそれしか考えていないのだろうか。


弊社は、突っ込みどころがあると思うので下記の通り、情報公開請求をかけてある。




反対に、最も苛烈な扱いを受けていたのが野党の第一党、民主党だ。



民主党ブース、小西洋之参議院議員のすわるデスク前モニタには、罵声が見せつけられていた。こんなものを見ていたら本人も支持者もやる気が落ちるだろう。また無様にさらし者になっていれば、それだけで政治家としては頼りがいもなく感じられて、印象はダウンする可能性がある。自分は民主党支持者でないが、彼の支持者ならとてもこんな場にはいたたまれなくなり、来ることも出来ないだろう。民主党員なら、民主党を辞めようと思うかもしれない。(ニコニコ動画では、不適切なコメントをBANする機能やアカウントの凍結等の処分が、投稿の秩序維持のためにされるが、彼の演説に対してはそれらの処置が必要とは判断されなかったようだ。:4月28日追記)




(維新の会の田母神氏に対しては、基本的に好意的なコメントとともに、橋下氏とは縁を切るべきだというメッセージが忖度なくよせられる。「ネットのどこかから」の声が現実に現れてくる。なお、田母神氏のほうがどちらかというと、民主党の小西議員(失礼ながら来訪するまで、名前も知らなかった)よりも一般的にもネット上でも認知度が高いと思われるが、その割に双方向スクリーンへ反映されるコメントの量は、小西議員に向けられたものの方が多いと思われた。)




(共産党のブースにはなぜかコメントの見れるモニターがなかった。運営のドワンゴ社といったいどういう調整をしているのだろうか。両者に取材に当たる必要がある。)


これらを見ると、具体的なやり取りについて不明な部分は残るが、やはり与党・自民党に有利な取り扱いは否定仕切れない様に感じる。

加えて、(1)ニコニコ動画・物販部門(エクストーン社)の取締役に自民党の現財務大臣・麻生太郎元総理の息子(将豊氏)がいることと(2)将豊氏およびその母が、同社の株主であり自由民主党の(内部のタカ派)と親和性が強いと思われることも疑惑も深める。


以上の取材には限界があったこともみとめなければならない。「定量的」な調査ではないためだ。そして難しいことに、ネット上での言論が操作可能かと言う問題は、ネット上の言論を定量的に観察しても確認できない。従って、多いに現段階では調査方法を工夫して掘り下げる余地がある。


なお、言論の統制に関して、日本の裁判所(米国の政治学者マーク・ラムザイヤーは自民党のコントロールが裁判所人事を通して判決に影響を与えていると、55年体制の時期を分析していた)は検閲の定義をとても狭く絞っていて「公権力」が主体にならない限り憲法の禁止する「検閲」そのものとしては問題にならない。もし仮に、恣意的な世論誘導と少数派への罵倒が、躊躇なく行なわれる社会が続けば、「民主主義的な討議」に基づく意思決定という社会像は、理念としてすら成り立たなくなるだろう。


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