エコーニュースでは、いくつかの点で、既存の主流マスメディアだけでなく、ネットメディアの主流とも一線を画した編集方針をとっています。
それは、あくまで有用な情報を社会に提供するというメディアの使命を考えてたどり着いたポリシーです。
・過度のデータ重視の排除
多くのネットメディアでは、ページビューなどのアクセス解析に基づく「データ・マイニング」に力を入れています。これはもちろん、データで計れるビジター数などがそのメディアの広告収入などの収益と影響力に直結するからです。しかしこの「マーケティング至上主義」的な方法を用いて、テンポラリーなその場・その場の読者の反響ばかりを追っていては真に価値のあるジャーナリズムを生み出すことの妨げになり得ると考えています。
(1)なぜなら、データ解析には限界があるからです。そのページの一時的なビューアーや、滞在時間からは、その記事の実際の価値と読者に与えるインプレッションは判明しません。
もちろん2chやフェイスブック・ツイッターなどでの書き込みはその記事に対する反響を表す一定の手がかりです。しかしそれからも、どれほど記事の価値はわかるのでしょうか?SNSなどに書き込みを行わなくても、読者は様々な印象を受けるはずです。そしてそのうちの一定層は、むしろ心の中にじっと感想をしまい込んでおき、あえてツイッターなどでの発信を避ける場合もあると思います。スノーデン氏の暴露したNSAのマス・サーベイランスプログラムによる、近年明らかになった政府による情報収集(ここからは、米国以外の国家もおそらく類似のプログラムを推進していると推論するのは、健全な推察です)について敏感な方々の場合とりわけ、ネット上での発言に萎縮効果を受けている可能性が高い。
(2)またそもそも、記事はあくまで「文章」という生き物です。それを、一時的なアクセス解析だけから判断するのは傲慢だし、不適切な方法だと考えています。
ニュースメディアの作成するのは文章です。文章は、単なる商品だとは言えません。(たとえば美術館の作品についてはどうでしょう。一時的な来客数と、その作品の前での観客の鑑賞時間を定量的に計測することは不可能ではありません。しかしそのデータからは、そこに展示された作品が社会にとって本当に重要な意味を持ち、将来も影響を与え続けるかは見えてこないのです。)
そのため、ほんらい不要な記事は、仮に一時的に当サイト内にトラフィックをもたらすとしても、ただでさえ玉石混交の情報が流通するネット上において、社会全体としてみて益の少ない、場合によっては外部不経済をもたらしてしまうノイズになるからです。(もちろん、「ノイズ」の現れ方自体に情報としての価値を見いだすビッグデータ分析のような方法にも価値はあるのですが)。しかし、このような情報を提供しているメディアは、他にいくらでもあります。そこでそれを追ってノイズを増やすことに、私たちは存在意義を見いだしていません。
(3)もちろん、私たちも収益性がマスメディアの存続にとって重要不可欠であることと、健全な経営体力が担保する編集の独立性と、優秀なスタッフによる十分な時間を投下した水準の高い報道につながることは認識しています。ですが、収益性はそれ自体がメディアの存在目的ではありません。メディアのミッションはあくまでも社会に(なるべく長期的に見ても)有用な情報を提供することにあります。もし、収益性の追求のためにエコーニュースの記事が有用性を失わざるを得ないことになるのならば、私たちは迷わず、エコーニュースをクローズします。エコーニュースというこの媒体のネーミングには、時間をへても響き続けるサウンド(健全)なメディアであり続けるという理念があります。 なので、私たちが目指すのは、今日、明日のページビューではありません。1年後、10年後、30年後に読み継がれる価値のある記事を書いていくことなのです。
編集長 江藤貴紀
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