「円周率が10桁で割りきれた」などというジョーク専門の架空ニュースサイトとして知られる虚構新聞の閲覧PV(ページ・ビュー)が、複数の地方紙を既に追い抜いていることが判明した。これはInternet Explorerなどのソフトが巡回したデータを集計するalexaという、アマゾン傘下のアレクサ社による調査サービスで分かったもの。また、虚構新聞運営社UK氏の発言から、同サイトの広告収入は月におよそ10万円台と推定。するとPVで劣る複数の地方紙は、同程度かそれ以下の広告収入しか得られていない赤貧状態の可能性がある。さらに地元からの広告についても、収益額は大きくないと思われ、例えば高知新聞の場合月に37万円に過ぎなかった。
まず、虚構新聞のページビューは社主のインタビューによると毎月平均で150万ほどとされ、アレクサでの順位は現在117679位である。一方で複数の地方紙サイトはそれ未満の順位。かろうじて地方紙大手の熊日新聞(売上高181億円、従業員数493人)は116916位となり、極めて僅差で現在は虚構新聞を押さえている状態である。だがやはり広告収入は大きく離れていないと思われる。
なお虚構新聞の社主によれば収入は虚構新聞の広告よりも、滋賀県で個人経営している塾の方がメインであるとされており、多くの地方紙ウェブサイトは個人経営の学習塾未満の広告収入しか得られていない、赤貧ラインの可能性が高い。
虚構新聞の広告収入を知る手がかりとしては2013年11月の記事に、1週間のGoogleアドセンス収入を2倍するとプレイステーション4(当時の値段で約4万円強、よりは少し高いくらい)という記述があったことから通常時のGoogleアドセンスによる虚構新聞の広告収入は約10万円くらいと推定される。すると、同系統の広告からは同じくらいしか稼いでいないと思われる地方新聞のネット版広告収入が果たして大丈夫なのか、他人事ではないがとても心配になってくる(サーバー代や人件費などを考えたらやらない方がいいレベルの可能性が非常に高い)。
なお純広告の額(のマックス)が高知新聞社の場合には判明することになった。alexaで188589位の月間90万PVであるが、純広告額の現在表示されている位置と媒体資料から3万円のメニュー19本と5万円のメニュー2本で合わせて、67万円分が入っていると確認できた(いずれも長期契約などによる割引はない前提なので、実際はこれより支払額が少ないことはあり得る)。アドセンスなどと組み合わせて、多めに見積もっても一月に77万円の売上といったところである。
以上のように地方紙も、紙とのタイアップその他の方法で広告収入を増やしたりあるいは地元にある広告代理店網を活用してより好条件の広告を得ている場合もあり、あるいはHPには購読者の申込窓口という意味もあるのは分かるのだが、上手くいっていても焼け石に水と見られ、紙の部数が減る中で、ウェブ収益も余り期待できないと考えられる。従って、紙の部数が減った場合の経営は普通に考えられている以上にじり貧となる可能性が高い。例えば高知新聞の場合の売上は、正社員一人の人件費になるかどうか、といったところだろう。
(人気ニュースサイト「虚構新聞」のペーパー版、「虚構新聞2013」と「号外!!虚構新聞」より。好みによるがどちらも確かに、紙の新聞にお金を出すよりは価値があるかもしれない)
alexaの結果がどれだけ正確な閲覧数の反映か(洩れていたり、過剰にカウントすることはあり得ないのか)分からないという問題はあるが、それでもAdobeのカタリストやGoogleアナリティクスと並ぶベンチマークテストとして、最も信頼の出来るものの一つである(実はそれにもかかわらず、公称PVの算出方法について、「公表出来ない」とする某全国紙もあった)。
続く
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