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シリア反体制派・隣国ヨルダンの難民キャンプから兵員確保ーーアメリカ情報機関も援助【米軍系新聞が発表】 

2013年11月13日08時22分

シリア反体制派・隣国ヨルダンの難民キャンプから兵員確保ーーアメリカ情報機関も援助【米軍系新聞が発表】 

本稿の趣旨と要旨:一般にニュースの情報源は多様に確保する必要がありますが、国内報道だけ見ていても、ソースが偏りがちです。とくに中東情勢のような、世界的には重要なのに国内メディアが手薄な領域ではそうです。

そのため、この原稿では米軍機関紙からの情報を紹介することで、現在懸案のシリア内戦のディテイルを題材に、アメリカのほぼ公式見解としての他国情勢への干渉の実態とその方法を伝えるとともに、国内で余り知られていない星条旗新聞という米軍機関紙の高いインテリジェンス価値を伝えることを目的とします。


この夏以降とくにですが、シリア反体制派は隣国ヨルダンの難民キャンプで、おおっぴらに傭兵の参加とレジスタンスの軍事訓練へのを募っており、その動きを加速させていると言うことです。アメリカ国防総省発行のStars and Stripes が伝えました


もっとも国連が公式に運営している難民キャンプで反体制派が徴兵を行なっていると言うのは、国連による人権救済と言う目的と相反する面があり、際どい面があるということです。国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)のアンドリュー・ハーパー氏は「今のところ、徴兵行動が行なわれているカッコとした証拠まではないが、そのようなことが行なわれているとしたら非常に遺憾だ」と述べているそうです。やや悠長、というか臭いものには目をつぶっているのかもしれません。


もっとも軍事訓練自体ヨルダン国内にあるシリア国境付近のZaatari難民キャンプで行なわれている訳ではなく、そこからリクルートした人材を別のところでトレーニングしていると言います。そしてこの難民キャンプは、人材の量で言うと非常にふんだんな兵士の供給源となっているそうです。というのは、難民の多くは(イスラム教徒全体では多数派だが・シリア国内で少数派である)スンニ派のイスラム教徒です。そして、(世界のイスラム教徒では少数派だが)シリア国内では数的に多数派なシーア派の分派を中心とするアサド政権の元では迫害の対象になってきたからです。


またもう1人、モハメド・アル・アマールという28才の青年は3ヶ月前にZaatari難民キャンプで徴兵されたと言うことですが、実はそれ以前にも19才のときから軍事訓練を受けたことがあり、対戦者ミサイルの使い方を


このリクルートは効果を上げているようで、例えばアブ・ジャマル・ジェドウリという若干31才のアラビア語教師は対空ミサイルの訓練を施しているのですが、この4ヶ月で125人のトレーニングを行ない、またこの2年間では少なくとも800人に軍事教練を施していたと語っています。


一方、ミリティアに参加することをよしとしない方もいます。例えば18才ーー日本では高校生か大学一年生ですーーー彼jは何度か義勇兵に参加することを勧誘され「私たちには武器がある。それを手に取って戦いましょう」と言われましたが、あくまでも「難民キャンプで家族を守るために、その誘いを断った」ということです。


ヨルダン政府はシリアの原稿政権・アサド政権と犬猿の仲であって、公式には反体制派の軍事訓練を援助していることを否定しているものの、政府高官のトップは米軍ペンタゴンにたいして「アメリカ合衆国とその西側同盟国にこれまで、シリア義勇兵を訓練する土壌を提供してきた」ことを認めています。ちょうど、陰に陽にロシアがアサド政権に軍事援助を施してきたことの影絵になっている訳です。


そして内戦を逃れてきた人たちーー多くはおそらくアサド政権に対して憤懣やるかたない思いを持って入るのですがーーそれがまた戦火の中に身を投じようとしているのは、やるせない感もあります。


そして、この情報は米軍機関紙ならではなのですが、米国政府関係者の情報として、アメリカ政府のインテリジェンス機関が、シリア人の反体制派兵士をヨルダン国内で訓練しており、またその目的はシリアの反体制派勢力への米国によるコントロールを強化する狙いがあるということです。つまり、これは米国の公式見解として、情報機関がヨルダン国内での反体制派援助を通してアサド政権への攻撃を行なっていることを認めたということです。


ちなみにこの新聞は米軍とその関係者を想定読者としているため、けっこう他のソースで大きくカバーしないニュースをやっていて興味深いです。星条旗新聞という名前です。


なお、このニュースの教訓は2つあります。一つ目に、一般論としてですが、他の地域でやっていることは別の地域でもやります。つまり同じようなことは、日本でもやっていたりするということであり、アメリカはアジアなどでも反政府勢力を援助するとともに、そのコントロールを目指しているということです。

またもう一つのインプリケーションは、アメリカがやっているということは他の国も大体やっているということであり、日本だろうと他の国だろうと、程度の差はあれ、似たようなことは外国でやっていると推測していいわけです。


余談:お世話になっている方の情報ですが、日本の米軍基地では「思いやり予算」で運用されているらしいです。


 

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