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NHK 弊紙に文書で回答 「総選挙前 自民党からの放送内容に関する要望書は『個々の放送番組』に関連」と認める 放送法3条違反の疑い

2014年12月25日12時44分

NHK 弊紙に文書で回答 「総選挙前 自民党からの放送内容に関する要望書は『個々の放送番組』に関連」と認める 放送法3条違反の疑い



自民党が、先の衆議院議員総選挙に際して、萩生田光一筆頭副幹事長と報道局長の連名でNHKを含む各キー局に対して出した番組内容の要望書について、NHKは「個々の番組内容に関しての文書」と認識していると、本誌が特殊法人NHKに対して提出した情報公開請求への返答(日本放送協会会長名)で分かった。この見解に従えば自民党の出した要望書は放送法第3条に違反している可能性が高い。


問題の要望書は、ニューズ・オプエドおよびネットメディア・ノーボーダーで11月26日に報じられ、その後に全国紙他のメディアも追随して報道した。そして翌27日の毎日新聞報道によると、民放の各局は要望書を受け取ったことを認めたがNHKだけは受理の有無を明らかにしてこなかったとされていた。


そのため本紙では受理の有無を明らかにするため、情報公開をNHK情報公開規定に基づいて請求したが、その度に得られた返答がきっかけで、要望書に関するNHK側の見解が明らかになった。


すなわち12月24日付けの「対象外文書のご連絡」と題したNHK会長名義の文書によると、自民党からNHKに当てられた要望書は「個々の放送番組の企画、取材、収録、中継その他の制作業務を行う目的で作成しまたは取得した文書」に該当するとあり、つまり真っ向から自民党がNHKの番組制作業務について要望を出したというのがNHK側の認識であったことになる。


これまでの報道による限り、自民党の要望書を個々の番組についての要請であると表だって認めたテレビ局はなく、例えば前出の毎日新聞報道にたいしてテレビ東京の社長は「これをもらったから改めて何かに気をつけろというものとは受け止めていない」などと述べている。


しかし、NHKの見解に従うと、自民党が出した文書は、個々の番組内容に係る要望書である。テレビ番組の作成などを規律する放送法は、第3条(放送番組編集の自由)で「放送番組は、法律に定める権限に基づく場合でなければ、何人からも干渉され、又は規律されることがない」と定めている。なので与党自民党が出した要望書が放送番組の個々の内容に関するものであれば、放送法3条の違反だったという帰結になってしまう。


なお私見だが、このNHKの回答文を書いた人は、放送法の条文をよく知らないままに肌感覚で実際の所をNHK会長名義で文書作成したため、このような失言レベルの回答をしてしまったのだと思われる(別に筆者がそれを狙っていたわけではない)。いずれにせよ、自民党・要望書問題についてはテレビ局の中でNHKが突出して率直な回答をしてくれたことになる。


(補遺)*NHKは国の定める情報公開法や独立行政機関の保有する情報の公開に関する法律の対象法人ではないものの、独自にこの情報公開規定を作成している。ただ、「NHK情報公開規程作成にいたる審議過程を知ることのできる文書」を対象に、かつて弊社がNHK情報公開規程に基づく請求で調べたところ、当初は単なるNHKの自主的な定めで「誰でも」開示を請求できると制度設計されていたのだが、現在の実務ではNHKの受信料契約者世帯の人間のみが開示を請求できることとなっている(規程・第6条参照)。


おそらく、大したことを考えてこの様に改正したわけではないだろうが、受信料の対価を支払っていることを請求権者の条件としてしまったために、この情報公開規程に基づく請求を受信料契約の約款に付随する権利として解釈できるようになってしまっている(ただ筆者が知る限り、裁判例になったことはない)。


こう解する場合にはNHK情報公開規定に基づく請求への開示は単なる自主的なものではなくて法的な義務となるため、不開示決定の是非に関して、義務づけ訴訟などを起こして民事訴訟で争うルートもあるように思える。


また放送法3条については、違反しても別に直接的には刑事罰や行政処分を受けることはないものの、いちおう抽象的にはその行為が他の罰条(例えば刑法223条・強要罪)にあたる余地がある(実際に起訴されたり有罪になるハードルを越えているかどうかは別問題である)。そして強要罪は親告罪ではないため、誰でも刑事告発は可能である。なお(1)仮にNHKがこの要望書を受け取っていなかったとしても(2)このNHK会長見解を放送業界の一般的な感じ方の立証証拠として(3)自民党の要望書を受け取っている民放各局への自民党萩生田光一筆頭副幹事長と報道局長からの強要罪が成立することはあり得る。


【江藤貴紀】


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