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民主党、枝野幹事長「前回大敗の原因は党内の『ガバナンス』欠如」選挙を前に外国特派員協会で会見

2014年11月21日12時34分

民主党、枝野幹事長「前回大敗の原因は党内の『ガバナンス』欠如」選挙を前に外国特派員協会で会見

会見、ほぼ全文

みなさん、なぜ今解散なのか不思議に思っているかもしれません。日本の政治家で今年の中の解散があると行って来た1人です。それは安部さんの立場に立ったときに、いちばん自民党にとって都合のいい時期に選挙をすると考えたからです。来年になると集団的自衛権を巡る法案の審査になります。そうすると、国論を二分する議論になって支持率は下がる。また、来年、再来年の契機は去年程はよくならないでしょう。


従って早く選挙をやってしまって、残りの4年の任期を全うするというのは安部さんの損得だけを考えれば十分にあり得ると考えていました。野党の立場、受ける側ですからそこまでしか私は予想していなかった。だが解散と言うためには何らかの大義を見いだす必要があるが、その大義を見いだせないまま解散してしまったんだと思う。


そのために、まだ2年も任期と300の議席があって、これ以上増えても仕方ないときに年末の忙しいときに消費を増やすべき時になぜ解散だとなって、解散そのものが(選挙の)争点となってしまった。これは安部さんの計算外だと思う。もう一つ、安倍総理の見込み違いは消費税の増税に対する民主党の対応だと思います。(注:(選挙の)というカッコ内は筆者が補ったものである。以下の場合も同様 )


今年の4月に8%に上げたのに続けて、来年に10%に上げるというのは自民、公明、民主の合意です。これを見送ったときに民主党がどう出るかと言うことに見誤った点があったのだと思います。結論的には増税を先送りするという結論になったとしてもそれを決めるプロセスで党内でいろいろな意見が出て、(民主が)バラバラだという印象を植え付けるところまでを安部さんは期待をしていたと思います。


しかし結果的にベストのタイミングだったと思いますが、党内でバラバラという評価を受ける形のない形で、増税先送りは正しいという結論に達しました。


むしろ私どもとしては、昔のようにバラバラという指摘をされる民主党ではないという証拠を出せた。また、どうして先送りをするのかと言ったときに2年前の党首討論で安部さんが定数削減をするという約束を果たせなかったと示せたと思っています。そうはいっても選挙になれば自民党と民主党でどこが違うのか、どこの部分で選択をしてもらうのかというのが大切だと思います。


集団的自衛権を巡る憲法解釈、特定秘密保護法、原子力政策などありますが、あちらが自信を持って訴えるであろう経済の問題に対して、こっちでしっかりとカウンターをうって、国民の皆さんに訴えかけないといけないと思っています。一つは結果の問題をしっかりと指摘をしないといけないと思っています。民主党政権が経済政策がよくなかったと安部さんは批判されますが、民主党の3年3ヶ月の政権で日本のGDPは5%伸びています。


一方、安倍政権2年間で日本の実質GDPは1.5パーセントしか伸びてないです。のびたのは、上位1%くらいの企業に集中している企業収益の伸びと、株価の伸びです。むしろ1人あたりの連続賃金は、この15ヶ月間、マイナスを続けています。念のため、消費税が上がったのは今年の4月でまだ7ヶ月ですから、安倍政権の元で消費税増税の前から賃金は下がっていると言うことになります。


株価は上がったけれど国民の皆さんの生活は苦しくなったねと言うことを国民に問いかける選挙になります。そして、私どもが3年3ヶ月してきたように、家計を下支えして中間層を拡大して内需を拡大していくことが必要だという風に考えています。


地方においては、今は米価の下落で大変困っていますが、私達が進めて今は交代している米補償制度を進めて行く、また地方一括交付金の事業により地方が自分で使えるお金を増やしていく。女性や若者を中心とした、低賃金で不安定な雇用を是正して、安定した正規雇用の人口を増やしていく。


この解散直前の国会で最大の争点だった法案が、労働者派遣法だったことは最大の省庁で、派遣を出来るだけやりやすくすると言うのと、私達は派遣を出来る職種を限定して、正社員として働く道を作っていく、それが最大の違いだと思っています。


あげていけば切りがないですが、つよい者をよりつよくして、トリクルダウンするというこれまでの考え方と、うちの弱者を下支えして底上げしていかないといけないという考えでは後者のボトムアップ型を政策に取り入れないと困ったことになると思っています。今日おいでの、外国の皆さんの多くが民主政治の先進国の方と思います。民主政治では選択肢が存在しなければ、民主政治は画に描いた餅になります。


また民主政治の選挙というのは、誰かに白紙委任するプロセスではない。選挙の結果を踏まえて議会で緊張感のある議論をする中で意思決定をするシステムですので、少なくとも与党に対して緊張感を持たせるだけの議席の野党が不可欠です。政権を失ってまだ2年です。安部さんもいちど総理を失ってから4年が返り咲きにかかりました。民主が議会で与党になるのは難しいとしても、国民の方に議会でプレゼンスを示すということは可能ではないかと思っています。


Q 欲しい議席の数はいくつですか?あと、国会の議席の数が憲法違反というのは、政治的議論の内容にならないでしょうか。(私の国の)ドイツでは裁判官がつよいので、もしその手直しをしないまま選挙をしたら、これは国民が立ち上がる。なぜ、それがディベートの議題になっていないのですか。

A 憲法違反への手続が日本とドイツでは違っています。日本の場合は最高裁が憲法違反だと言ったとしても、だから選挙は無効だといわないことも含めて日本の憲法のシステムです。ただ、違憲状態であって改善する余地があるのにそれをしないまま解散をしたのは問題だという風に主張はしていくことになると思います。また、目標数値については、選挙は血を流さない戦争です。これから戦争を始めるのに、全員死なないと言わないと、戦争にならないです。


Q 今まで民主党の代表に批判的な声が出ているが、最も適切なリーダーの元で選挙できるという自信はどれだけありますか?

A 少なくとも私が幹事長になった九月以降、今の指摘が大きな問題になったとは思いません。これだけ複雑な社会では1人のリーダーだけは問題にならない。今の民主党は体制として、最強かもしれない。


Q 前回の選挙で負けた最大の原因は。またそれは解決できたと思っていますか。

A 党内がガバナンス出来なかったことだと思います。これはこの2年間で飛躍的に改善をしたと思っています。問題はこれを国民の皆さんに知ってもらうのには時間がかかると言うことです。


Q 福島の調書、なぜ民主時代に出さなかったのかですか。そうすれば民主党のイメージも向上したと思うのですが。

A 我々の政権の時に、政府の中枢自体が調査の対象だったので、その運営自体を全く事故調査委員会にゆだねていました。それは、こうかいをするかしないかをふくめてであり、その事故調査委員会の公開をするかどうかの判断に政府首脳が関わることはかえって事故調査委員会の信頼を損なうと考えていました。


Q 憲法改正と言うことですが、憲法9条についてだけの解釈を変えるというのが不可能だという人がいます。そのためには両議院の賛成と国民投票が必要だと言う人もいます。これについての安倍総理の考えにどういう意見を持っていますか。また民主党の集団的自衛権に対する立場は統一していますか、それともそうではないですか。

A あらゆる方には、憲法だけでなく、解釈の幅があります。でもその幅には一定の幅があり、安倍政権の集団的自衛権についての閣議決定は、この幅を超えていると思います。従って、これをやろうとするならキチンとした憲法の条文改正手続をやらないといけない。この点で民主党は全く一致しています。

じゃあ憲法改正して、集団的自衛権を認めることについての民主党内の意見についてどうかお伝えします。集団的自衛権と呼ばれているものの一部については、憲法を変えて認めるべきではないかという意見もあっても、まさにどういう範囲ならばそれが必要であり妥当であるかと言うことについて、国民的議論が必要だということで党内はまとまっています。少なくとも技術的な検討も国民的議論も、今この改正を進めるべき時期ではないという認識です。


Q 日本だけでなくイタリアや韓国でも最高裁が違憲判決を出しても,その対応には消極的なのが政治家です。ところで、安部さんはズルをしたと思いませんか?今回は安倍総理に民主党は裏切られたと思いませんか?というのは前回の選挙で負けたのは消費税増税をするとしたからです。なのに今回の選挙では安倍総理は自分の判断で増税を見送るという言い方をしているわけです。そして2年半前に、この様な消費税増税の合意をしたのは、民主党はナイーブではないでしょうか。

A 私達というか国民が裏切られたと思うべきだと思っています。このことを私達は国民にクールな頭で訴えないといけないと思っています。

ナイーブすぎたという指摘は真摯に受け止めますが、それと同時にずるがしこすぎる政治と受け取られたら国民の信を得られない。それが政治だと思います。私達がナイーブとしたら相手方はずるがしこいと言うことでそういう政治が大衆民主主義の元で正しいのかと言うことは問いかけないといけないと思っています。


Q データを見ると雇用状況が改善していて、経済で住宅に資金が流れている。そういうわけで数年後に消費税を上げるのを見送らず、あげるべきだったと思いますが。さらに前回の選挙は投票率が非常に低かったですが、あげる自信はありますか。その場合の理由はなぜですか。

A 民主党が、消費税増税の先送りを後回しとすることとしたという理由は、3つありまして、身を切る国会議員の定数削減と、社会保障改革と、あと家計への打撃というものがあります。なので、経済の数字がいいと言うことを持って、私達の判断を変えるものではないと考えています。投票率ですが、民主主義の中では投票率が高いと嬉しいですが、全体としての投票率を上げる余裕はありません。私の目標は民主党に票を入れてくれる人の投票率を上げることで、投票率全体の底上げは目標の埒外です。


Q 民主党は(内部で)結びつきをつよくしたと言っておられますが、他の野党はそういう状況ではないと思います。みんなの党が解党して維新は消滅しそうです。それを民主が拾うことは出来ると思いますか?

A 他党とは協力しようという話をしていますので、予め喋ると協力がしにくくなります。あまりに他党のことを言うと喜ぶのは自民党だけなので、それを言うのは容赦して下さい。


以上。


 

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