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国連勧告のヘイトスピーチ問題  ヘイトサイトと広告契約を結ぶグーグル、楽天、アマゾン等の大企業への罰則が効果的サンクション

2014年8月30日12時27分

国連勧告のヘイトスピーチ問題  ヘイトサイトと広告契約を結ぶグーグル、楽天、アマゾン等の大企業への罰則が効果的サンクション

末端のヘイトスピーチより、最も儲けている親玉を叩いてインセンティブを失わせる

たしかに、アマゾンやらGoogleは私企業に過ぎない。しかし実態としてこれらは小国並みかそれ以上に力を持っているグローバル企業なわけであり、差別的表現をきちんと取り締まらずにむしろそこから利潤を得るのは良識としてどうかと思われるし、何らかのサンクションが課すのが実効的である。


しかし個人レベルでアマゾンに対して出来るのは差し当たり意図的な不買活動くらいかしかない。またGoogleに関しては同社が態度を変えるまで各サイト運営者が、アフィリエイトを入れない、アドワーズをクリックしないなどだろう。(注3***)(注4****)またFC2やlivedoorブログを利用している方で、以上のような企業の姿勢に疑問のある人はブログサービスの乗り換えを検討するくらいだが、これも面倒そうだから実際にやる人は少ないだろう。


では、実際にどう対処すれば良いか。結論から言うとヘイトスピーチのサイトに広告を出すことにより、ヘイトスピーチで最も利益を得ているのはグーグル、アマゾン、ヤフー、楽天等のネット大企業なので、これらの会社の広告を経済的に割に合わなくすれば良い。ようは、ヘイトスピーチをやっている個々のサイトではなくその経済的な親玉になっている広告主が、広告を引き上げない場合、それを処罰するわけである。


この考え方は、そう突飛な者ではなく麻薬事案などでは自己使用よりも売人ーー特にその元締めーーが厳罰に付せられるし、また日本では売春でも、売春した本人ではなく管理売春をした者のみが、売春防止法の刑事罰の対象になる。モグラたたきで末端を検挙するよりも胴元を取り締まる方が効果的と言う考え方である。同じ理屈をネットに適用すればヘイトスピーチそれ自体ではなく、それを経済的に支援することで利益を得ている企業を取り締まるのが実効的ということになる。


ちなみにネット企業に警察機関や行政機関が捜査、立ち入り等をすることは決して珍しいことではなく、例えば隣国の韓国ではグーグルの現地法人が、警察から個人情報無断収集の疑いで事務所が捜査を受けたり位置情報保護法違反で罰金の制裁を受けている。


また「ヘイトスピーチも表現の自由のうちだ」と考えるとしても、そんなに信念があるなら広告をもらえないで経済的に儲け無しでもやってごらんということになる(一種の社会実験だが、どれくらいネットの言論が変化するか興味深い。)。


経済的なインセンティブからいっても、法令違反のサイトについて、広告主(グーグル等)にちくって何とかしてもらおう、広告をはがそうと考えるのは筋が悪い。何故なら、グーグルやアマゾン、楽天等はそれらのサイトから出る広告収入で利益を得ているので、広告を引き上げるインセンティブに欠けるからである。(これで、いわゆるまとめサイトなどの著作権法違反の疑いの濃いサイトから、これらの事業者がこれまでなかなか広告引き上げなかった説明もつく)。むしろ、これらのIT大手の担当者をお縄にするとか、通信事業の関係の各種免許を剥奪しますと脅した方がよっぽど効果的で筋が良い。


:補遺 表現規制は微妙な問題でーーーあと、「国連が言っているから正しいのだ」というような虎の威を借る狐のようなマネは好きでないのでーーーいくつか捕捉をしておく。


1* ネット上での差別表現へ規制どこで対処するかについては大きく分けて、(1)政府の政令レベル(2)サイト運営者やプロバイダー等、事業者のレベル(3)個々の利用者の責任や良識に任せるレベル、の三層がありえる(これらは複合的に組み合わせて処置することも出来る)。

 個人的には政府や事業者ではなく個人個人のレベルで自主的に判断する社会がもっとも望ましいと考えていて、「お上から」の規制には抵抗がある。そしてあらゆる表現は、政府レベルやネット事業者のレベルで禁止されれば実効的なアクセスが難しくなるので好ましくないという気持ちの方が強い方である。

 ただ、自社の利用規約でダメだと言っている行為を認めて儲けを得ている会社/経営者はつまるところ世間体と金銭のいいとこ取りをしているので、ズルではないかと思うわけである。

 また国際社会の中での評判という「国益」(この表現も、実態はミクロな個人や中間団体であり、また他国の構成員と完全に分離できるわけでもない「国」を単位に物事を区別するため、ナンセンスな問題設定へ繋がることがあり、実はそれほど好きではない)を考えた場合は民間事業者レベルでの機動的な対処も良識に応じてあってよい。


2** 時として、人種ネタはとくに卓越した(ギリギリの)ブラックユーモアとして成立することもあり(ウディ・アレン等が名手で「僕のおばあさんはコサックに犯されるのに忙しかった」などがその例である。)、自嘲ネタのような場合は表面的な字面だけでの判別にそぐわない。それもあり、筆者は原則は法律や事業者の規則などではなく個々の個人レベルでの判断と良識に任せる方が望ましいと考える方である。ただ規約で「差別禁止」のようなことを言って世間体を取り繕ったり法的責任を回避しながら、儲けを得ている会社というのはフェアなプレイをしていない。


3*** これらの検討を受けて、以上の企業にはいくつかのこれまでの対応および今後の方針について、公開質問を今後いくつか行う予定である。こういう大手企業の経営者はウォールストリートジャーナルなり日経新聞なりの各種メディアで大きな顔をして「経営者です。事業に成功した勝ち組です」と自慢するより先に、大きな社会的影響力を持つことになった自社のサービスが引き起こす迷惑について振り返ってはどうか。


4**** なお、あらゆる表現規制は望ましくなくなにを言っても自由という考え方もあって、それはそれで、(支持するかは留保するとして)一貫した考え方である。だが、この記事で検討した大企業群はどこもその建て前はとっていない。


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アイキャッチ画像出典:「シナ人犯罪を糾弾するデモ」と題されたブログより。


【江藤貴紀】


 

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