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 新薬が出た途端に、医師の診断が変化する傾向?

2013年10月2日09時13分

 新薬が出た途端に、医師の診断が変化する傾向?

→前回記事 :「ストレス性腹痛が、女性に多い傾向」との研究


 先日、日本医療データセンター(以下、JMDC)の、診療報酬明細(レセプト)分析による過敏性腸症候群(以下、IBS)の疫学調査で、女性の方が男性よりもIBSの罹患率が高いという研究内容をお伝えしました。


 ところがその後、複数の医師および研究者から「レセプト病名は、保険適応の処置をしたり薬を出すために便宜的に書くことが現場では多い。従って、レセプト記載の運用は必ずしも病名にそったものになっておらず、その記載は実際の疾患を正確に反映していると言えない」という旨の指摘を受けました。


 これについて9月29日にJMDCに確認したところ、「除外していい事象」と認識しているとの回答をいただきました。しかしながら、上述のような、一般論としてレセプト病名と実際の病名はずれることが多いという現場の医師の指摘に加えて、②


    IBSにおいてはとくに、今回の調査がなされる中でレセプト病名と実際の病名がずれやすいのではないかと判断するべき材料が出てきました。

すなわち、同調査では、近年男性の過敏性腸症候群が急増している旨の記載があるところ、2008年に男性へは保険適応がみとめられているが女性へは保険適応の無いという特徴的な性格を持つIイリボーがアステラス製薬より発売されております。そして、その発売とある程度、軌を一にして男性にIBS診断が増えていることが読み取れました。これは、男性においてIBSの患者が増えたというより、イリボーを処方するために、現場の医師がレセプトへIBSの病名を記載する事例が増えたほうに原因があると読み取る方が素直な見方と思われます。


これを受けて検討した結果、今回のJMDC社分析は、IBSの疫学調査として適切だったとは言えず、むしろ逆にレセプト病名をそのまま疫学調査に用いる場合にあやまった結論に至りやすいことを示す材料となっていたと弊社では結論づけました。

(当初のもくろみとは倒錯しますが、これ自体も、現場の医師から指摘された「レセプト病名と実際の病名は異なることが多い。だから前者の数を直接に、統計数に結びつけて結論をだすことは問題である」という、疫学の方法論についての見解を確認する一つの証拠としては価値を持つと思います。)


 

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