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「日本人はNSA問題に関与する責任がある」ーー本紙、アメリカ政府に情報公開請求で説明を要求

2013年11月3日02時29分

「日本人はNSA問題に関与する責任がある」ーー本紙、アメリカ政府に情報公開請求で説明を要求

朝日新聞社の剽窃、という本社の表現と、国内メディアの目指すべきところについて

また、国内での朝日新聞・NSA報道の適切性に関する本社の見解について、全国紙等の方(々)からご意見をまた頂戴できました。貴重で、新しいご意見なので弊社の考え方と会わせてありがたく掲載させていただきます。(現時点では会社名、人数は秘匿しておきます。またご意見をくださった方の会社が増えて全国紙だけでなくなりました。ただ、細かく書くと特定の可能性が増えるので「全国紙・地方紙・通信社、放送局のニュース番組」をまとめて「全国紙等」と表記します。)


それは「追っかけ」という慣行(他の会社が書いたことを、それから後に書くこと。新聞社等では、独自取材の失敗として大きなミスとされます。)についてです。そのうちで特にまとまったご意見を、ほぼ全文、引用させていただきます。


「自社が遅れたニュースでも大きな事件の場合にはその後の締め切りまでに同じ内容を書くことが要求されます。特ダネを書いた新聞社があれば、他社は、同様の内容を次の締め切りまでに取材して、記事にすることが求められます。いわゆる「追っかけ」です。だいたい、各社は「●日、分かった」と書き、新聞を一紙しか読まない方には、その新聞があたかも独自記事を書いたように見えます。


今回の朝日新聞報道は、その追っかけを長い時間をかけてやったものではないでしょうか。海外の取材の場合、同じ人にインタビューするにしても人の手配や相手方との手続きに時間がかかるのですぐに書くわけにいかなかったと思います。まず、日本の新聞購読者で海外の報道に接する人は少なく、日本の読者向けに書く必要があると朝日新聞は判断し、記事を出す際に、これまで日本の新聞では同様の報道がなかったとして、独自ダネのようなスタイルで出稿をしたのかも知れません。


私自身、追っかけ記事を書くことは少なくありません。剽窃と言われると、確かにネタを盗んでいるという感覚がなくはありません。独自記事は、地道な交渉と取材相手の信頼を勝ち取って初めて書けるものだからです。ですが、「剽窃」という言葉が当てはまるのは、朝日新聞が実際には取材をせず、記事を盗用した場合か、あるいは取材はしたが、文章をまるまる写し取ったかのような翻訳文を掲載した場合、に限られるのではないかと思います。」


というご意見です。非常に論理的に一貫したご意見です。なので(偉そうですが)とてもその意義が高いと思いますので、貢数を割いて、私見を述べさせていただきます。


まず①このご意見は新聞社等の独自の「文法」による考え方ですが、普通の読者はそうは受け取らないはずで、朝日新聞報道を独自ダネと受け取ってしまうはずです。私も、このような「新聞社等の文法」は承知しています。ですが書き手の文法を守っているからいいのだとするのならば、それは「読み手」よりも業界を意識している姿勢であって、目線として正しくない気がします。というのは、メディアの役割は同業他社ではなくて、読者に情報を伝達することだからです。


そして②業界の文法として現在それが通用していても、「読者に情報を伝える」という観点でミスリーディングならば、「文法」がそもそもおかしいのであって、それを変えるべきではないでしょうか。(もちろん、いちど固着した慣行を変えるのが十分に難しいのは承知していますが、それでもです。)


さらに③日本のメディアが「世界レベル」で勝負するのなら海外の他社報道であっても輸入をしただけで独自報道の様に書くのは失格です。最初から自分たちは海外に勝てないと宣言してリングを降りているようなものだからで、これはいちおう先進国である日本の報道機関として、十分な水準として満足していては、いけないと思います。


あと④海外報道が端緒でも、それを国内で独自ネタとして書いたならば、それを誇っても十分にいいと思います。それでも最初の端緒は、(日本国内の特落ちを「●日に分かった」と書く場合では、国内メディアをクロスチェックすれば比較的容易にわかるのと違って、一般の日本人読者にはより一層「特落ち」であるのが分かり難いからこそ)海外メディアにクレジットを付けるべきです。なぜなら、「海外メディアのこの報道の信憑性を確認した」がもっとも情報として的確・正確な文の書き方ですし、そう書いた方が読者にも、それまでのニュースの流れを伝えることが出来る点で「読者に対する貢献」が出来ます。


加えて⑤(1)朝日新聞が取材を全くしない記事の盗用か、(2)取材はしたが丸々の翻訳のような場合のみが剽窃に当たる、というのはやや甘すぎると思います。まず(1)が剽窃なのは間違いないです。しかし(2)については、丸々の翻訳じゃなくて、内容の順番や言い回しを変えるのは極めて簡単ですので、それだけで剽窃から脱出できるというのは優しすぎと思います。また「出羽の上」になるけれど、学術の世界だとそれは完全に「剽窃」です。


⑥なお前から感じていた私見ですが、他社が先に報道した(場合によっては単に出稿のタイミングで負けただけ)で追っかけをそこまで恥じられる必要も無いと思います。というのは、あくまで読者に取っては、何が伝えられるかが大事ですし、新聞社等の業界内ほどは、一日や半日記事が速いか遅いかはそこまで受けの方には問題でないからです。もちろん少しでも先に出すというプロ意識は賞賛されるべきですが、他社報道を参考にしても、それを伝えられるならば読者に取ってはありがたい情報の発信源です。(その場合も、半分以上、外野からの言い分で恐縮ですがどうせなら特ダネを書いた会社さんの名前を明記することで、業界内でも尊敬を示し合うというのもあってもいいスタイルと思います。)


出発点に戻りますが、今回の弊社のNSAに対する情報公開請求は、その意識があって「海外メディアよりも特ダネを取る」ことを目指したものです。成功するかどうかは未知数です。でも少なくとも、東芝のアラスカに建設予定の第四世代・新式原発の設計図を米国原子力規制委員会への情報公開請求で入手した記事については世界レベルで通用する独自取材を成功したと思っています。なので今回も勝算の見込みが無いとは思っていません。ちなみに、今回の新聞社等のかたのご意見を、今回のNSAに対する情報公開請求という取材関係記事の中に持ってきているのは、「単なる評論・メディア批判が3.11以降とても不毛だ」と考えているからで、「私に意見はあってもいいけれど、意見をいうならオルタナティブなことを自分でやってから言おう」という私なりのモラルからです。


なので、どこの社でも、(特に人員と規模で海外に比べて恵まれているのだから)日本のメディアが世界で勝負することは十分可能なはずだし、「国内で一番速いから、独自ダネの様に書く」ではいけないと思います。実際、これを朝日さんの英語版で書いていたら、叩かれる以前に全く外国から相手にされないだけのはずです。ぽかんとされて。


重ね重ねですが、幸いにもどなたも、これまでの皆さんは見解を様々な見解を独自の観点で、理性的に一貫した内容で語ってくださっています。(なるほど、という意見もあってありがたく頂戴しています。ですがそれより「そうかもしれないが、朝日新聞報道もありではないか」の方が、私や読者の方に新らしい目線が開けるので感謝しています。)


本当に、貴重なご意見を本当にありがたく受け止めています。


【江藤貴紀】


 

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